拍手というものは、不思議な音だと思う。
鳴り止まないうちは、自分が確かにここへ存在している証明になる。けれど、それが潮のように引いてしまえば、あとに残るのは耳鳴りにも似た静けさだけだった。
最後の歓声が会場の天井へ吸い込まれていくころ、碧葉はギターを抱えたまま、小さく息を吐いた。
今日も客席は埋まっていた。
ステージの最前列では涙を流している人がいて、アンコールの声は予定より長く続き、終演後には新曲が今年最大のヒットになるだろうとスタッフが笑っていた。
誰もが、この夜を「成功」と呼ぶ。
その言葉に間違いはないのだろう。
実際、間違ってなどいない。
それなのに胸のどこかだけが、演奏を終えるたび少しずつ冷えていく理由を、碧葉は言葉にできないままとうとう二十二歳になってしまった。
