喪失の夜に、あなたがいた

どれほど待っただろう。
 時計の針の音すら聞こえないほど、
 楓の意識は処置室の扉だけに向けられていた。

さくらは隣で静かに座っていた。
 楓の肩にそっと手を置き、
 ただ寄り添っていた。

その温かさがなければ、
 楓は立っていられなかったかもしれない。

やがて──
 処置室の扉がゆっくりと開いた。

白衣の医師が姿を現す。

楓は反射的に立ち上がった。
 胸が強く締め付けられる。