喪失の夜に、あなたがいた

「白石さん──何をしているんですか」

低い声が割って入った。

楓だった。

明莉の肩をそっと抱き寄せ、
 玲奈との距離を遮るように立つ。

「明莉さんに近づかないでください」

玲奈は楓を見つめた。
 その目は、嫉妬と憎悪で濁っていた。

「どうしてこの人ばかり守るの?この人は楓さんの親友の恋人だった人でしょ。それなのにかばうなんて
許せない。あなたが守るから、私は壊したくなるのよ」

楓は明莉を庇いながら、
 静かに、しかし強い声で言った。

「離れてください」

「嫌よ」

玲奈が楓の肩を押しのけようとした。

その瞬間──
 明莉の足がもつれた。

視界が揺れる。

テーブルの角が近づく。

楓の手が伸びる。

でも──間に合わなかった。

鈍い音が響いた。

会場が悲鳴に包まれる