喪失の夜に、あなたがいた

匿名で投稿した噂が、 少しずつ拡散していくのを見ながら、
 玲奈は静かに画面を閉じた。

「……これで、少しは気づくはず」

誰が楓にふさわしいのか。
 誰が楓の隣に立つべきなのか。

明莉にただ、そこはあなたに似合わないとそれを“教えてあげる”だけ。
 悪意ではない。
 必要なこと。

玲奈の中では、それが揺るぎない“正しさ”だった。

翌日。
 仕事の合間に、玲奈はふとニュースを開いた。

佐伯明莉の名前がまた出ていた。
 復帰の話題。
 現場の様子。
 ファンの反応。

そのどれもが、
 玲奈の胸をひやりと冷やした。

(……まだ立っている)

(……まだ楓さんの隣にいる)

その事実が、
 玲奈の心を静かに締めつけた。

明莉を憎んでいるわけではない。
 明莉を壊したいわけでもない。
何か決め手がないか探さないと……。
ただ──
 自分が選ばれなかったという事実が、痛い。

その痛みが、
 明莉という存在を“排除すべき影”に変えていく。