喪失の夜に、あなたがいた

撮影が続く穏やかな日々の中で、
 明莉はふと、自分の身体の変化に気づいた。

朝、少しだけ気分が悪くなる。
 疲れやすい。
 胸の奥が妙に熱い。

そして──
 検査薬の線が静かに浮かび上がった。

(……赤ちゃん……)

その瞬間、
 明莉の胸に温かいものが広がった。
明莉は以前流産した時、子供はできにくいと言われていたから、
楓との子供、凄く嬉しかった。