喪失の夜に、あなたがいた

明莉へー
このメッセージを見るころ、俺はもう君のとなりにいないかも しれない。

そんなこと考えたくないけど……。医者の顔を見れば大体わかる。

本当に悔しいよ。せっかく俳優になれたのに……。

なんで、俺が……。

でも、君と出逢ったことは俺の人生で一番よかったことだ。

だから、どうしても君に伝えたいことがある。

まず、最初にごめん。

明莉をひとりにしてしまう事。明莉に悲しい思いをさせること。

全部俺の力不足だ。

本当は明莉と結婚して、親になりたかった。

俺は小さい頃に親は事故で亡くなったから。

親というものはあまりわからないけど、明莉とならきっといい親に なれたと思う。

明莉と子供と三人で笑って暮らしたかった。

でも、俺の身体はそれを許してくれなかった。

それでも――明莉、君と最後までずっと一緒に入れたこと 本当に幸せだった。

君は自分の仕事を休んで、ずっとそばにいてくれた。

大好きな女優業を休むなんて君にとっては酷なことだったろうに。

君が笑うと、世界が明るくなる感じがした。

君が泣くと、胸が張り裂けそうだった。

君が「大丈夫」というたび、本当は大丈夫じゃないことに 気付いていた。

俺はそんな明莉が全部好きだった。

……でも、最後まで言えなかったな。

「愛してる」って言ったら明莉を縛ってしまいそうで 怖かった。

だから、代わりに願いを言っておく

明莉、どうか生きていて欲しい。

俺がいなくても、笑って欲しい。

俺の分まで俳優の仕事を楽しんで欲しい。

そして、いつか君を守ってくれる誰かに出会えたら

――その人を信じてほしい。

俺の代わりに君を幸せにしてくれる人が現れた時は、迷わず、その人の手を取って欲しい

明莉。

君の未来がどうか温かいものでありますように……。

――佑輔

動画が終わった瞬間、病室の空気が変わった気がした。