「あの、誰かと間違えて……」間違えてはない。たしかに、女性は「竹野内翔太」と、僕の名前を呼んだ。
「……は、ないようですが、誰ですか? どこかで会いましたっけ?」
「何をとぼけているの! あれだけのことをしておいて、忘れたとは言わせないわよ!」
「『忘れた』とは言いません。覚えがないんです。僕とあなたは、初対面のはずです」
「あくまでもシラを切るつもりなのね。それなら……」と、彼女はコートのポケットから拳銃を取り出した。
「ここで、死んでもらうわ!」
銃口は、言うまでもなく僕に向けられている。
……向けられているのだが。
「……水鉄砲?」
「バンッ!」



