クタクタで家に帰ると、インターホンが鳴って、ハルミが開いている玄関から入ってきた。
「どうだった? 最初の授業は」
「軍隊です」
「軍隊? 俳優になるんじゃなかったの?」
「そうなんですけど、軍隊なんです」
「へえ、軍隊……」
ハルミは、勝手に僕の引きっぱなしの布団に腰かけて、僕が出したオレンジジュースを飲んだ。
「協調性を磨いてるのかな? それとも、恥ずかしさとかそういうのを取っ払うための授業なのか、将又、別の目的があるのか……」
「わかりませんね、まだ。少なくとも僕はもう1日で辞めたいなって思います」
「辞めちゃうの?」
「いや、本当には辞めませんよ! そういう気持ちになったってだけで」
「どうでもいいけどさ、翔太くん。なんか、声、大きくない?」
「え?」
僕は、自分のお腹に手を当てて、「そうですかね?」と言ってみた。感じる丹田。なるほど。僕も知らないところで、感染していたようだ。



