鏡張りの部屋。鏡の前で、リーゼント先生が言う。
「鏡に大きく『大』の字を書いてみろ!」
みんな言われた通り、指でできるだけ大きい「大」の字を書く。しかし、先生はそこでまた怒鳴る。
「身体全体を使って書け! 死ぬ気でやれ!」
そこで、右手を大きな筆に見立てて、横一線に、なんなら横跳びする勢いで、「バシャンッ! シャーーーーー! シャアッ!」と声を出しながら、一文字ずつ、「大」の字を書いていく。はらいのところは、腰を最大限に落として、「バシャンッ! シャーーーーー!」とはらう。
それに対して、先生が合否を出していく。良かったら「オーケェェェイ!」と。ダメなら「ダメ!」と。僕は何度やっても「ダメ!」だった。
カイエダなんて、床に膝をつきながら、勢いよく書いている。ヨサノも元々持っていなかった恥やプライドを、拒絶するように、頭の血管剝き出しでやっている。
やれやれ。そういうのを目の当たりにしてしまっては、僕はこうはなりたくないと意地でも思ってしまう。



