授業にはなんとか間に合った。が、すでに浴衣姿の先生が来ていて、その周りで数人____その中にヨサノも当然のようにいる____が、申し訳なさそうな顔で、うつむいている。
ヨサノを含めた数人に共通すること。僕はすぐに気づいた。あ、名札。
カバンの中にあっただろうか。ゴソゴソ漁る。たしか、入学式の前に寄った学校でもらったはずだ。名札はカバンの底にあった。僕は、名札の安全ピンを着替えた稽古着にぶっ差して、名札がなくて怒られている周りで、ストレッチをしているカイエダとガースー、アベさんを見つけた。
「名札だよね?」
と僕が聞くと、カイエダとガースーが、「うん」と苦いものでも食べたような顔で頷いた。
「あれだけ授業では絶対名札付けるようにって、教務が言ってたのにな」
と、カイエダが太ももの裏を伸ばしながら言い、「でも、高校の時にもいたよね? あれだけ言われたことをできない人」と、ガースーが言い、アベさんの背中をグッグッと押している。
「あ、翔太くんはちゃんと名札、つけてるね」
と、アベさんが意外そうに言うもんだから、僕は「意外だった?」と素直に聞いた。
「うん。なんか、翔太くん、あっちのタイプの人間かなって思ってたから」
とアベさんが、ヨサノたちの方に視線を送る。気づいたヨサノが僕たちに手を振った。僕たちは一斉にその場を離れ、背中でヨサノが浴衣姿の先生から怒鳴られているのを聞いた。



