ノスタルジア





「なあ、翔太はどう思う?」とヨサノが、辛味チキンを骨までしゃぶりながら聞いた。


「オレも大体、カイエダと同じ意見だよ。ただ続けるだけじゃ、30代になってもいつまでも夢を諦められず、定職にも就かず、夢だけ語ってるような、浅いヤツになると思う」


「何歳でも夢があるっていいことだろ?」


「うーん」とアベさんが、たらこソースのパスタを皿に取り分けながら、首を傾げた。


「とあるドラマでね、『20代の夢は男を輝かせるけど、30代の夢は男をくすませるだけ』ってセリフがあるんだけど、翔太くんが言いたいのって、そういうことだよね?」


「そうそう。オレはそう言いたいわけ。ちなみに、ドラマってアレでしょ?」


「そう。『カルテット』」


「私はさー」とガースーが、ドリンクバーのメロンソーダを一口飲んで言った。


「そんな先のこと考えずに、没頭できた人こそ、夢を掴むと思うんだよね」


「いやいや、没頭しちゃうと、それこそ、周りが見えなくなって、気づけば30代ってオチだろ」


とカイエダが、ガースーの真っ向から否定する。それに対して、ガースーが反論する。


「カイエダくん、そういうことじゃなくて、没頭できたら将来に対する、焦りとか不安とか、そういう余計なものから解き放たれて、いい演技ができるようになるんだよ。それに、30代には、30代の時にしかできない演技があるし、歳をとってから、大成する人だっていっぱいいるし。要はタイミングなんだと思う」


「じゃあ、ガースーは、30代のおばさんになっても、続けるのかよ?」


「カイエダくんは、辞めちゃうの?」


「オレは、20代でデビューするから」


「できなかったらの話をしてるんだよ?」


「できるできないじゃなくて、するんだよ!」