ノスタルジア





スマホでスガさんに連絡を取る。


『どの辺にいる?』


『どの辺だろ……結構真ん中の方かな』


『2人分の座席とか空いてない?』


『うーん。ちょっとないかも』


ここで、スガさんとの合流を諦め、僕とカイエダとヨサノは、端の方の席に座った。


「俳優の方ですか?」


座っていた席の、隣の席の人から声をかけられた。スーツ姿ではあるものの、髪が茶髪で目がキリっと、俳優というより、アイドルに近い感じの、男の人だった。


というか、「俳優の方ですか?」って聞き方。ちょっと引っかかった。たしかに、俳優専門学校だから、「俳優の方」ではあるのだが、まだ何の作品にも出ていない自分を、「俳優」と呼ぶには、おこがましい。かと言って、本来の意味の通りなのだから、「違います」というのも違う。でも、「俳優」は違う。まだ違う。


「あなたは?」


「あ、俳優です。自分、エダノといいます」


「あ、竹野内です。ってか、同期ならタメ口でいこうや」