ノスタルジア





それから、僕はカイエダとスガさんとマックに入った。


「目指してる俳優像みたいなの、ある?」


と、誰も呼んでいないのに、勝手についてきた黒のスウェット上下のヨサノが、聞いた。


「オレは別に。翔太は?」


「僕は、藤原竜也さんみたいな感じ、かな。スガさんは?」


「私はね……」とスガさんは、黒烏龍茶を一口飲んだ。


「本に憑依する感じかな?」


「本に憑依?」


とヨサノがポテトを鼻に詰めた顔で聞いた。


「そう。台本をもらって、自分なりに演じるって感じじゃなくて、台本を読み込んで、役を作り上げるって感じ」


「でもそれってさー」と、カイエダがヨサノの坊主頭をしばいて、口を挟んだ。


「台本から読み取って、演じるのって、結局は自分なわけだから、役を作り上げるも何も、同じ意味じゃね?」


「うーん、なんて言えばいいかな……」とスガさんは少し考えて言った。


「役を自分で制するっていうよりは、役に溶け込むって感じなのかな? 自我を出さないって感じ」


「カメレオン、みたいな感じ?」


と僕はヨサノのポテトを2本奪って聞いた。


「そう! カメレオン俳優!」


とスガさんも、ヨサノのポテトを1本摘まんだ。