ノスタルジア





どえらいところに来てしまった。僕はやっと気づいた。


その後も、変なゲームが続いた。


男女で二人組を握手をする。その手の感触を記憶して、全員で目を閉じて、声を出さずに、歩き回る。そこで、ぶつかった人と握手をし、その手の感触が、さっき記憶したものかどうか判断する。この人だ! と思うと、そのまま手を繋いだまま、教室の外へ出て、目を開け、相手がその人で合っているか、確認する。


僕が組んだのは、ショートカットの小柄な女の子。大きな目。その左目の下に泣きぼくろがあって、幼い頃の神木隆之介を彷彿とさせる。名札には、「スガ」とあった。


「よろしくお願いします!」とスガさんがお辞儀をして、僕も釣られてお辞儀をした。上げた顔が、やっぱり幼い頃の神木隆之介。似ている。整っている。なるほど、可愛い。


スガさんが右手を差し出してきて、僕はズボンで手汗を拭ってから、手を繋いだ。小さな手で、少し冷たい。手のひらと手のひらの間に空いたわずかな空間から、何か、目に見えないものを出して、交信を試みる。正体のわからない何かを受け取って、記憶し合う。


そんなもの、まったくの無駄で、目を開けた時には、全然知らないセミロングのハーフっぽい女の子と教室の外にいた。教室の中にまだ残っていたスガさんは、決して出会えない僕の右手を必死に探していた。