12:30。若作りの茶髪の男の人が教室に入ってきて、周りが「おはようございます」と挨拶をした。カイエダとヨサノ、そして僕も釣られて挨拶をする。
講師の茶髪男は、挨拶冒頭、自分がいかにすごいのかについて、淡々と、時に誇らしげに語った。周りとヨサノは、目をキラキラ輝かせながら、講師の自慢話を聞いている。冷めた目で見ていたのは、僕とカイエダだけで、ああ、カイエダとは気が合いそうだと直感的に思った。
講師の自慢話が終わって、あなた・わたしゲームなるものが始まった。
「あなた」と誰かに指を差されると、自分を指さし、「わたし」と言う。その人は、「あなた」を誰かに指さし、渡す。指を差された人は、「わたし」と自分を指さし、また「あなた」を誰かに渡すというルール。
目的は、3点。緊張を解き、周りと打ち解けること。自分がいつ指を差されるか、集中すること。そして、しっかりと目を見て伝えるアイコンタクトの重要性を理解すること。
部屋の中をグルグル回りながら、「あなた」と「わたし」が飛び交う。途中、講師が、「あなた」を増やしていく、その数がどんどん増えていき、自然とテンポも速くなっていく。「あなた」を差されているにもかかわらず、気づかれない場合は、気づかれるまで「あなた」を投げかける。
はっきり言って、カオス。空間少年カオス。「週刊少年ジャンプ」みたいだなとぼんやり思っていると、ヨサノが、顔を真っ赤にしながら、「あなた」を僕に必死に投げかけていたのに気づいた。僕はやっと気づいて「わたし」と受け取り、セーラームーンみたいに長いツインテールの女の子に、「あなた」を投げかけたが、セーラームーンは、こっちを見向きもしない、カオス。



