ノスタルジア





学校は、アパートから歩いて15分のところにあった。


学校というより、ビルのような外観。看板には、「俳優専門学校」とある。


受付を済ませ、案内に従って鏡張りの部屋に着く。12:30には、まだ20分も早かったが、もうすでに10人くらいは来ていた。


「どこから来たの?」


と早速声をかけられた。黒のVネックのシャツに、ジーパンを履いた髪ツンツン男。胸の名札には、「カイエダ」とある。


「愛媛です」


「お、じゃあ近い。オレ、神奈川」


ボケなのか、本気で言っているのか……カイエダの屈託のない笑顔を見ても、どっちなのか、わからない。


「神奈川のどこ?」


僕とカイエダの間に入ってくる、黒の上下スウェットの坊主頭。名札には、「ヨサノ」とある。


「平塚。どこ?」


「オレ、横浜」


「へえ」と、カイエダはあまり興味なさそうに言った。愛媛で言うところの、松山と今治のように、神奈川の中でも、ある程度の序列はあるようだ。