ノスタルジア





ズルズル。


「茹で加減はどう?」


ズルズル。


「ええ、いいですよ」


お風呂を炊いた人、入った人のような会話だった。


「私の実家、熊本なの。田舎で、もうほんと、トトロが出てきそうな田舎でね。周りが山に囲まれていて、盆地……ってよりは、谷みたいなところに住んでたの。川が近くにあってね? 鮎とか釣れるの。あ、シーボルトミミズって知ってる?」


「シーボルト?」


「えっと……これ!」


と、ハルミは、スマホで「シーボルトミミズ」の検索結果を見せてきた。でかでかと表示された、でかでかと青々としたミミズ。


「ね? こんなのがうじゃうじゃいるの」


「はあ」


僕はなんだか、今食べているものがシーボルトミミズのような気がしてきた。