幕がか下がったあとのはモーに

愛斗は朝から一生懸命仕事に打ち込んでいた。お昼時、店の扉がそっと開き、ありさ、正子、父の高、そして勇一の四人が揃って来店してくれた。愛斗は顔がほころび、「いらっしゃいませ!」と笑顔で出迎え、ゆったりとした窓際の席まで案内した。
メニューを手渡し、注文を聞き終えると、キッチンに調理を頼んでしばらくして、温かい料理を順番に運んでいった。
「お待たせしました、どうぞ」と声をかけると、四人は「わあ、おいしそう!」と嬉しそうに箸をつけた。
楽しそうに世間話に花を咲かせながら完食し、会計を済ませて席を立った。
ありさが、みんなが先に店を出るのを待って、そっと愛斗の袖を引いた。
「ねえ、今晩家で鍋パーティーをするの。愛斗くんもよかったら、ぜひ来てね」
「本当ですか? ありがとうございます! ぜひ行きたいです!」
愛斗は嬉しくて、思わず声が弾んだ。
その後も閉店まで愛斗は仕事を続け、やっと勤務が終わった。約束通り駐車場でありさと待ち合わせ、正子も合流して三人で車に乗り、鍋の材料をたっぷり揃えるため、大きなスーパーへ向かった。
店内は夕方の買い物客で賑わっていた。
白菜やネギ、きのこ類、それに大好きな肉や練り物を選びながら、あれこれと話していると、向こうから佐藤B作とあめくみちこが、手をつないで歩いてくるのが見えた。二人も食材を選んでいたので、家族連れで買い物に来ていたらしい。
「あらあら、四人でお買い物なのね」
みちこが目を細めて笑い、B作も隣で頷いた。
「まるで本当の家族みたいに仲が良くて、とってもいいわね」
愛斗は少し照れくさそうに頭をかいた。
「いえ、まだ家族じゃないですよ。これからなんです」
「ははは、そう堅くならなくても」B作が愛斗の肩を軽く叩いた。「そう言わずに、いつかきっと本当の家族になれるといいね。僕たちはそれを楽しみに待ってるんだから」
その言葉を聞いた瞬間、愛斗の胸がぎゅっと引き締まった。その場にいた全員の視線が愛斗に集まる中、彼はぐっと息を吸い、真剣な顔つきになって、まずありさの父・高の方へゆっくりと向き直り、深く頭を下げた。
「高さん、突然で本当に申し訳ありません。あの…、ありささんをお嫁にもらってもいいでしょうか? どんなことがあっても、一生をかけて絶対に大事にします。どうか、よろしくお願いします」
緊張で声が少し震えていたが、はっきりと伝えた。続いて正子の方へも体を向け、同じように丁寧に頭を下げた。
「正子さんも、どうかよろしいでしょうか。ありささんを守り、幸せにしますので、見守っていただけますか」
高は最初は驚いて目を見開いていたが、愛斗の真剣な様子を見て、ゆっくりと頷き、優しく笑った。
「愛斗くん、そんなに改まらなくてもいいんだよ。ありさが小さい頃から、いつも誰かを想いやる優しい子だった。そんな彼女を、こんなに真剣に想ってくれる君なら、何も心配はない。もちろん、いいよ。二人で幸せになってくれ」
正子も目にうっすらと涙を浮かべながら、柔らかい笑顔で頷いた。
「私も大賛成よ。愛斗くんの誠実さや、ありさを想う気持ちは、痛いほど伝わってるから。安心して、ありさを任せられるわ。ずっと見守ってるからね」
ありさは顔を真っ赤に染め、嬉しそうに涙を浮かべながら、そっと愛斗の腕に両手を添えて寄り添った。
「お父さんも正子さんも、ありがとう。私もずっと、愛斗くんと一緒になりたいって、心から思ってたの。二人で、幸せになります」
「これは本当にめでたい!」B作が大きな声で笑い、みんなの肩を叩いた。「末永く、仲良く幸せになるんだぞ。いつでも困ったことがあったら、いつでも相談に来なさい」
みちこも目を細めて微笑んだ。「本当によかったわ。いつまでも、今の気持ちを忘れないでね」
愛斗は胸がいっぱいになり、言葉が詰まりながらも、もう一度みんなに深く頭を下げた。
「みなさん、本当にありがとうございます。一生、約束を守ります。どうぞこれからも、よろしくお願いします」
スーパーのあたたかい照明が、笑顔で包まれた六人を優しく照らしていた。買い物かごの中の食材が、これからの幸せな時間を予感させるように、きらきらと光って見えた。
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