はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜

再び椅子に座った千雪の頭の中は、高校時代の記憶が駆け巡っていた。特に、上原清香。その名前を思い出すだけで、冷えた感情が押し寄せる。かつて友だと思っていた人だ。

清香も哲平同様に千雪のクラスメイトだった。

『同じ中学から来た女子は私だけなの。工業高校だから男子は八奈見くんとか、他にも何人かいるんだけど。瀬戸さんが友達になってくれたら嬉しい』

そう声をかけてきたのは清香で、千雪は二つ返事で頷いた。清香とは目立たない者同士、すぐに打ち解ける事ができた。千雪は距離を縮めようと、清香に呼び方の提案をした。

『上原さんのこと、清香ちゃんて呼んでもいい?』

『上原でいい。私も瀬戸さんって呼ぶから』

清香は、そんな痛烈な言葉を言うような、個性的な人でもあった。しかしながら千雪は、清香の一匹狼的な所や、人に媚びない凛とした性格も好きだった。一緒に居ると清香に認められた気持ちになって、自分の背筋も伸びたようで誇らしかった。

清香は一重のクール美人で、冗談を言わなそうな冷たい印象を受ける。背中まであるワンレングスの髪型が雰囲気に合っていた。

当時、バレー部のエースとして皆の憧れだった硬派な哲平が、地味な千雪にばかりちょっかいを出していた。清香にとってそれは、非常に面白くないことだった。千雪のお人好しな性格を見抜いた清香は、執念深い歪んだ顔で笑った。

『私たち友達だよね?だから瀬戸さんを信用して告白するよ。私、八奈見くんが好きなの。だから八奈見くんと仲良くしないでほしい。ヤキモチ妬いちゃうから』

千雪はちくんと胸が痛んだが、清香に協力する事にした。それが友情だと信じていたから。