はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜


仕事が終わった千雪は、哲平に指定された居酒屋へ向かった。居酒屋とは言え千雪は車なのでノンアルコールである。

アルコールは飲めないが、哲平のチョイスは正解だ。完全個室の居酒屋は話をするには適した場所だった。

千雪が到着すると、既に哲平が席に着いていた。

「ごめんね。遅くなっちゃった」

「いや、俺もさっき来たところ。何飲む?」

「じゃあ烏龍茶で。八奈見は呑んでいいよ。私車だから帰りは送るよ」

「ありがとうな。でも俺も車だから大丈夫。俺は、そうだなぁ……とりあえずコーラで」

千雪達が住むこの地域は、車が無いと非常に不便だ。車はお出かけ用のアクセサリーではなく、靴と同じレベルの実用品である。靴と言うからには、車も当然一人に一台の必需品だ。

本当は呑んで心機一転したい所だが、今日は止めておいた方がいいだろう。他でもない、上原清香の話をするために集まったのだから。代行タクシーを頼むほどの場ではない。

千雪はタブレットで飲み物と簡単な食べ物を注文した。

「瀬戸さん……今日はうちの社員がご迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした。謝ります。この通りです。」

哲平はタブレットを操作している千雪に、深々と頭を下げた。