はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜

口を尖らせて自分のために怒ってくれる梨乃が、本当に嬉しい。千雪は自然に言葉がこぼれてしまった。

「浅田ちゃん……。あなたって娘は、なんて良い子なの。私の方こそ大好きだよ!」

千雪は感動で胸がいっぱいだ。許されるなら、思いきり抱きつきたい。

(浅田ちゃんになら話してもいいかもしれない。八奈見のこと……)

「実は……sasano事務所の八奈見さんも私の同級生なんだ。上原さんと八奈見は昔から特別な関係でね。だから、私が八奈見に近づくのが許せないらしくてさ。でも仕事だよ?仕方ないじゃんね」

「えー!まさかの恋バナですか?そんな話をするために取引先の会社に電話かけてきたんですか?間違いなく頭のおかしな女ですね」

千雪は憤慨している梨乃をなだめようと、コーヒーを飲むように勧めた。

「恋バナなんてライトな話じゃ済まないかも。脅迫めいたことも言われたし。でも会社に迷惑かけるような事は絶対させない!だから今回は内密にしてもらえると助かる」

無意識に哲平に迷惑をかけたく無いという気持ちが上回ってしまった。

「脅迫ですか?さすがにやばいですって。沼田さんの耳に入れた方が良くないですか?ああいうタイプの人間は心から反省しない限り、繰り返しますよ」

この先を予言するかのような梨乃の言葉は、とてもよく状況を把握した、真っ当な意見だ。

プルルルル……

突然、千雪のスマホが鳴った。

「あっ。すごい!グッドタイミング!八奈見から電話だ。出てもいい?」

「勿論です」

千雪は梨乃に軽く頷くと、その場で通話を始めた。