はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜

満更でもない表情をして、千雪は翔也との関係を喋り出した。

「えー!同じ日に引っ越し?団地のお隣同士で?」

「うん、凄いよね。しかも、同じ時間帯だよ」

「そんな偶然あります?アニメの話ですか?」

「アニメじゃないよ。現実だよ、現実。私の話」

「で、それをきっかけに家族ぐるみで仲良しになったと?」

「その通りです」

「瀬戸さんばっかりずるいです。八奈見さんとも知り合いだし!」

梨乃は『ずるいずるい』と駄々をこねる三歳児のようだ。

「だよね?ですが偶然は、まだ続きます。なんと翔也くんと私は、同い年で同じ小学校だったのです」

「出来すぎです、瀬戸さん」

「だよねぇ。でも初日から一緒に登校できて、凄く心強かったんだ。特大ご褒美をもらった感じ」

にこにこしながら千雪は語る。

「モテたんじゃないですか?翔也くん」

「それはもちろん!あの見た目で、あの人柄だもん。最強だよ」

「でしょうねぇ。瀬戸さん、女子から妬まれなかったんですか?翔也くんと仲良しだったんですよね?お団子をつんつんするくらいなんですから」

「そう思うでしょ?それが無くてさ……」

そう言うと千雪は翔也ではなく、哲平を思い浮かべた。特定の男子絡みで嫌な思いをしたのは、高校生の時だったからだ。

「瀬戸さん?」

「あぁ、ごめん。翔也くんと登下校も一緒だったけど、なーんにも無かったんだよね。周りからは単純に幼馴染としてしか見てもらえなくてさ。まぁ、それが事実なんだけど。それ程、私と翔也くんは釣り合ってなかったんだろうね。ははは」

「それはそれで、良いのか悪いのか……」

「いや、良いでしょ。嫌な思いをするのは懲り懲りだよ。」

「懲り懲り?やっぱり何かされたんですか?」

「ううん!されてない、されてない!」

千雪は慌てて否定した。翔也の時は本当に何もされていないのだ。

「で、中三の時に翔也くんが引っ越ししちゃって、それきり。たった今、十年ぶりに再開したってわけよ」

「十年?連絡とってなかったんですか?」

「残念ながらそうなんだよ。音沙汰無しってやつ?音信不通」

「だって仲良しだったんですよね?翔也くんと」

「私はそのつもりだったんだけどね……」

千雪の声のトーンが少しだけ落ちた。