店内に入ると、ゆったりとしたフレンチジャズが心地よく耳に届いた。地方の田舎とは思えない異空間に、足を踏み入れた感覚になる。しかし、千雪にとってそれは、耳慣れた懐かしいメロディーであった。幼馴染の家に行くと、いつも流れていたメロディーだったから。
幼馴染の母親はフランス人で、生活エリアは彼女の好みが至る所に散りばめられていた。リビングやダイニング、もちろんキッチンも。どこもかしこも洗練されていた。初めて訪れた千雪は、あまりの素敵さにカルチャーショックを受けてしまった程だ。
「いらっしゃいませ。ご予約の浅田様ですね。右手奥のお席へどうぞ」
店員の静かで優しい響きの声が、どこか懐かしい。
(この人かな?)
噂のイケメン店員さんをちらっと盗み見たが、角度が悪く、よく見る事ができなかった。千雪は諦めて、歩き出した梨乃の後ろを追った。
「ありがとう。予約してくれたんだ」
「いえいえ。誘ったのは私ですし、予約してないと入れませんからね。特に最近はイケメン効果で」
椅子に腰掛けると梨乃が小声で千雪に耳打ちをしてきた。
「瀬戸さん見ました? 今の人ですよ。白馬の王子様」
「あっ、ごめん。じろじろ見たら失礼かと思ってよく見れなかった」
千雪は慌てて取り繕った。
「えー……嘘でしょ?」
残念がる梨乃を横目に、千雪は木の温もりで癒される店内をそっと見渡す。確かにイケメン効果なのだろう。女性客ばかりだ。そして彼女らの視線は、明らかに彼へと向けられていた。
幼馴染の母親はフランス人で、生活エリアは彼女の好みが至る所に散りばめられていた。リビングやダイニング、もちろんキッチンも。どこもかしこも洗練されていた。初めて訪れた千雪は、あまりの素敵さにカルチャーショックを受けてしまった程だ。
「いらっしゃいませ。ご予約の浅田様ですね。右手奥のお席へどうぞ」
店員の静かで優しい響きの声が、どこか懐かしい。
(この人かな?)
噂のイケメン店員さんをちらっと盗み見たが、角度が悪く、よく見る事ができなかった。千雪は諦めて、歩き出した梨乃の後ろを追った。
「ありがとう。予約してくれたんだ」
「いえいえ。誘ったのは私ですし、予約してないと入れませんからね。特に最近はイケメン効果で」
椅子に腰掛けると梨乃が小声で千雪に耳打ちをしてきた。
「瀬戸さん見ました? 今の人ですよ。白馬の王子様」
「あっ、ごめん。じろじろ見たら失礼かと思ってよく見れなかった」
千雪は慌てて取り繕った。
「えー……嘘でしょ?」
残念がる梨乃を横目に、千雪は木の温もりで癒される店内をそっと見渡す。確かにイケメン効果なのだろう。女性客ばかりだ。そして彼女らの視線は、明らかに彼へと向けられていた。


