恋、しちゃったみたいです。

放課後

昨日パパからもらった宿題をするために再びパソコン室にやってきた。

カタカタカタ
作業を始めてすぐに、ガラッと引き戸をあける音がした。

「やっぱり、ここに…いた…?」

そういいながら入ってきたのは、王子だった。

「…昨日の子…だよね?」

王子は疑問に思いながら近寄ってくる。

あ、そうか。
昨日は全部外してたから、私ってわからないんだ。

「なんのことでしょう?」

とりあえずとぼけてみる。

「いや、昨日の子だよね?」
「はい?」
「今日もパパからの宿題?今日は中国語なんだ」

そういいながら資料に目を通す。

……ばれてるな。

「はい」

あーあ。この格好もばれちゃった。

「なんでこの格好なの?」
「昨日も言ったけど、大企業の娘だから。もし素顔がばれてもこの格好ならばれないだろうし。お兄ちゃんは男避けもある、とかなんとか言ってたけど、こんな私に近寄ってくる男の人なんているとは思えないけど。家族だからって贔屓目がすごいんだよね」

「……俺は兄の気持ちわからんこともないけど」
とボソッと言ってきたけど、意味が分からないのでうん?と首をかしげる。

「まぁいいや。このことをしってるのは?」
「幼馴染と理事長だけ」
「ってことは俺含め3人か」
うん、とうなずく。

「そういえば、下の名前。なんていう?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「苗字しか知らねぇ」
「柚希」
「柚ね。スマホ貸して」
「え?なんで?」
「いいから、貸して」
そういって王子は手を差し出す。
私はおそるおそるスマホを差し出した。
「ロック解除して」
言われた通りロックを解除する。

「よし、俺の連絡先いれといたから」
「え?!」
「俺のことは奏斗って呼び捨てな?」
「はい?!」
「連絡したらすぐ来いよ?」
「え?!やだよ」
この人なんかさっきからとんでもないこと言い始めた。

「ふーん?断る気?」
「当たり前でしょ?放課後はパパからの宿題しなきゃいけないの。あんたにかまっている暇なんかない」
「あ、そう。じゃ、柚のことばらすね?」
「だめ!」
「じゃあ、わかるよな?」
…悪魔だ。
「ん?なんか言った?」
そういって恐ろしい顔で笑う。
「ひぃぃ。なんでもありません!」
「わかればよろしい」
そういってにこって笑い、頭をなで、パソコン室から出ていった。

あれが優しく素敵な王子?!
悪魔の間違いでしょ?!
あの人ぜっっったい性格悪い!
なんであんな人にばれてしまったのか…。


「ほんとさいあく…」
そういってしばらくパソコン室でうなだれていた。