恋、しちゃったみたいです。

放課後

そんな私の願いが叶うはずなんてなく。
気づけば放課後になっていた。

「はぁ」

大きくため息をついて、社会科準備室に向かった。

ガラッ

引き戸を開け、中に入る。

「遅い」
やつは机にもたれかかって、私を待っていた。

遅い?!
これでも早く向かったんだけど?!

「俺にそんな顔していいんだ?」
くぅぅぅ。むかつく~~~。

「で、何の用?」
「山田がここ、掃除しろってさ。だから手伝ってもらおうと思って」

にこって笑いながらいう。
他の子ならきゃーきゃー騒ぐんだろうけど、私には効かない。

「なんで私?あんたなんか、頼んだらいくらでも手伝ってくれる子いるじゃない」
「は?たたでさえ、きゃーきゃーうるさくて仕方ねぇのに、放課後もとかまじ勘弁。その点、柚なら俺のこと知ってるしな?」

……なるほど。モテる男も大変ってわけね。



「ちょっと!奏斗ちゃんと持ってよ」
「柚こそちゃんとやれって」

私たちは社会科準備室の掃除をしている。
地味子の格好では動きにくいので、眼鏡をはずし、髪はお団子、スカートは短くして作業している。

「なんでこんな面倒なこと引き受けたのよ」
「王子の俺が断れるわけねぇじゃん」
「断りなさいよ!てか山田先生、自分で片づけてよーーー」

はてしない量の片づけに文句を言う。



2時間後

「やっと終わったーー」
「はぁ。ちらかしすぎなんだよ」

ちらっと時計を見たら、18時を過ぎていた。
意外と結構時間たってたんだな。
よかった、来栖に連絡入れておいて。じゃなきゃ今頃大騒ぎだね。

「こんな時間だし、帰るか」
「うん」

そう言って、お互い鞄を持って立つ。

「柚の家って遠い?」
「あー、うん。ちょっと距離あるかな」
「ふーん、送るわ」
「うん………へ?!今なんて?」
考え事をしながら返事をしていたため、慌てて聞き返す。

「だから、送るって。もう暗いし。お嬢様に何かあっても嫌なんで」

こいつ、わざとお嬢様って部分を誇張しやがった。

「大丈夫だよ。それに、ほら、まだ結構明るいし」
そういって外を指さす。
太陽によって赤く染められた空が広がっていた。

「不審者、いるかもしれねぇじゃん」

「大丈夫だって!誰も私なんか襲わないよ」

まだ私が大財閥の娘なんてばれてないもの。そう思いエッヘンと胸を張る。
それに送迎のことまでばれるのはまずい。
お前、まだ送り迎えされてんかよ。とか、どんだけ箱入りなんだ?とか、学校くらい一人でいけねぇのかよ、とか。
絶対バカにされる。

「いいから、おとなしく送られろ。これ、命令」

えぇぇぇ?!
有無を言わせない様子に仕方なく従うしかなかった。

どうしよう…とりあえず、来栖に連絡しなきゃ。

来栖に終わったことを告げ、仕方なく二人でいつもの場所に向かった。