*
保健室に手を引かれるままに、杏ちゃんに連れられた放課後。
私は霞む視界に目を凝らしながら、杏ちゃんが私のおでこに絆創膏を貼ってくれる様子を見た。
「痛って!!」
「動くな
ずれるだろ」
と、私に苦笑するも。
「あのクソ女の事は、気にしなくていいからな。
言ってることは、倫理破綻してやがるしーーー世間的な話じゃねぇーから」
と、痛みに震える私の頭を撫でてくれた。
それは、包み込むような毛布に包まれた柔らかな温かい手触りだった。
「ううん。
私は、気にしてない。
凛ちゃんは強い女の子だってことは、理解してるし。
自分を高めるすごい強い女の子だって、寧ろ尊敬してるから」
「そこがお前の良いところだな……。
問題は、なんでそんな良い所を月先生が気づいてくれないのかって所だがな……」
と、目を細めて、困った顔をしていた杏ちゃん。
「姫」
と、話をしていたらなんと月先生がやって来た。
「どうしてここにいるの!?
月先生!?
まさか私のために、迎えに!?」
月先生はため息を吐いて、バインダーで私の頭をペチリ。
「補修があるんだよ。
お前、英語の小テスト0点だったろ」
と、言われてーーー閃いたように、思い出した。
「ヤッター!!」
「喜ぶな。
俺の仕事を増やしてるのに気づかないのか」
と私は頭をペチリとされて、杏ちゃんは苦笑。
ということで、指導室に向かった私と月先生。
勉強を始めると言っても、写し書きをされるだけでーー退屈な時間だ。
「ねぇ……月先生。
やっぱり、付き合ってよ。
私、自分に嘘をつくことなんて出来ない……。
不器用だけど、好きなの」
ふと、そう言葉が漏れていて。
月先生は「生徒だから、無理だ。仕事をしろ」って、パソコンを取り出して資料か何かを作ってる。
ムッとして、私はパソコンを閉じた。
「凛ちゃんとよく話してるくせに、私に対しては無視をするのはなんで!!」
と、感情が爆発して目の前に迫った。
月先生は私を睨んで、眼鏡をくいって上げて。
やっぱり「仕事をしろ」しか言わない。
それでもね、私は大好きなんだよ。
そんな、生徒に対して靡かない一匹狼みたいな強いそんな孤独の人が。
私みたいに、寂しがりやでーーー仲間がいなければ自分の存在ってなんだろうって思っちゃうような。
そんな弱さを持っていないのが、私は羨ましいんだ。
そして、そんな強い人になりたいし、近寄りがたいんだ。
「私はね、先生の事好きなのに、やっぱりきれいな子が好きなの……?はっきり答えてよ!!」
好きとも、嫌いとも言ってくれない月先生に対して、正直ムカムカしてる。
どうしてそんな事をしているのかさえも、隠し通すところもズルい。
私は、月先生の持っていたペンを奪う。
そしてじっと見つめていたら、月先生はため息を吐いた。
月は私を下民を見るように、「勉強もできない、恋愛に甘えてる女にはーー微塵だって興味なんてない」と言い捨てた。
「理想の女……?
そうだな……凛のほうが理性的で好きだな」とペンを奪う。
微かにペンが震えていた。
あれ……何だか嘘を付いてる?
でも、私は悲しかった。
月先生がどう、私を思っているのかも分からないからというのもある。
だけど、私は必死に月先生が心を開いてくれるように、明るく振る舞っていたつもりだ。
だけども、こんなふうに心を閉ざされてしまうのはーー。
今までやって来たことを全て否定されたように思えてーー。
何だか、目頭が熱くなる。
「最低……人が必死に好きだって思い伝えてるのに!!」と私は走り出した。
振り返ること無く、私はグシャグシャになった気持ちを抑えて。
夜、家の中。
ベッドに包まりながら、杏に電話をした。
一通り話し終えると、杏は。
「きっと何か理由があるんだと思う。
でも、なにか理由があってーー手一杯なんだろうな」
「手一杯って、何に困ってるの……?」
鼻をすすって、ゆっくり聞いた。
「それが分かれば、苦労はしないさ。
でも、本人が話したくない理由があるってことは……付き合えない決定打があるってことよ……」
知ってはいけない、真実があるってこと?
「どうしたら……月先生の心を開けるの?」
「本人次第ってところもあるから……。
でも、これは先生としてのプライドってもんがあるんだろう。
言わないかも………。
諦めて、ガチで、他の所に行ったほうがいいかもだぜ……」
それは、杏ちゃんにも「脈無しだよ」と切り捨てられて、月先生にも「拒絶」されたショックだったんだろう。
スマホを切って、ベッドに沈み込む。
何も考えたくない。
深い闇の海に溺れてるみたいに、心が苦しい。
私は、布団に包まって深く目をつぶって、「明日が来なくなればいい」って願うように眠りについた。
保健室に手を引かれるままに、杏ちゃんに連れられた放課後。
私は霞む視界に目を凝らしながら、杏ちゃんが私のおでこに絆創膏を貼ってくれる様子を見た。
「痛って!!」
「動くな
ずれるだろ」
と、私に苦笑するも。
「あのクソ女の事は、気にしなくていいからな。
言ってることは、倫理破綻してやがるしーーー世間的な話じゃねぇーから」
と、痛みに震える私の頭を撫でてくれた。
それは、包み込むような毛布に包まれた柔らかな温かい手触りだった。
「ううん。
私は、気にしてない。
凛ちゃんは強い女の子だってことは、理解してるし。
自分を高めるすごい強い女の子だって、寧ろ尊敬してるから」
「そこがお前の良いところだな……。
問題は、なんでそんな良い所を月先生が気づいてくれないのかって所だがな……」
と、目を細めて、困った顔をしていた杏ちゃん。
「姫」
と、話をしていたらなんと月先生がやって来た。
「どうしてここにいるの!?
月先生!?
まさか私のために、迎えに!?」
月先生はため息を吐いて、バインダーで私の頭をペチリ。
「補修があるんだよ。
お前、英語の小テスト0点だったろ」
と、言われてーーー閃いたように、思い出した。
「ヤッター!!」
「喜ぶな。
俺の仕事を増やしてるのに気づかないのか」
と私は頭をペチリとされて、杏ちゃんは苦笑。
ということで、指導室に向かった私と月先生。
勉強を始めると言っても、写し書きをされるだけでーー退屈な時間だ。
「ねぇ……月先生。
やっぱり、付き合ってよ。
私、自分に嘘をつくことなんて出来ない……。
不器用だけど、好きなの」
ふと、そう言葉が漏れていて。
月先生は「生徒だから、無理だ。仕事をしろ」って、パソコンを取り出して資料か何かを作ってる。
ムッとして、私はパソコンを閉じた。
「凛ちゃんとよく話してるくせに、私に対しては無視をするのはなんで!!」
と、感情が爆発して目の前に迫った。
月先生は私を睨んで、眼鏡をくいって上げて。
やっぱり「仕事をしろ」しか言わない。
それでもね、私は大好きなんだよ。
そんな、生徒に対して靡かない一匹狼みたいな強いそんな孤独の人が。
私みたいに、寂しがりやでーーー仲間がいなければ自分の存在ってなんだろうって思っちゃうような。
そんな弱さを持っていないのが、私は羨ましいんだ。
そして、そんな強い人になりたいし、近寄りがたいんだ。
「私はね、先生の事好きなのに、やっぱりきれいな子が好きなの……?はっきり答えてよ!!」
好きとも、嫌いとも言ってくれない月先生に対して、正直ムカムカしてる。
どうしてそんな事をしているのかさえも、隠し通すところもズルい。
私は、月先生の持っていたペンを奪う。
そしてじっと見つめていたら、月先生はため息を吐いた。
月は私を下民を見るように、「勉強もできない、恋愛に甘えてる女にはーー微塵だって興味なんてない」と言い捨てた。
「理想の女……?
そうだな……凛のほうが理性的で好きだな」とペンを奪う。
微かにペンが震えていた。
あれ……何だか嘘を付いてる?
でも、私は悲しかった。
月先生がどう、私を思っているのかも分からないからというのもある。
だけど、私は必死に月先生が心を開いてくれるように、明るく振る舞っていたつもりだ。
だけども、こんなふうに心を閉ざされてしまうのはーー。
今までやって来たことを全て否定されたように思えてーー。
何だか、目頭が熱くなる。
「最低……人が必死に好きだって思い伝えてるのに!!」と私は走り出した。
振り返ること無く、私はグシャグシャになった気持ちを抑えて。
夜、家の中。
ベッドに包まりながら、杏に電話をした。
一通り話し終えると、杏は。
「きっと何か理由があるんだと思う。
でも、なにか理由があってーー手一杯なんだろうな」
「手一杯って、何に困ってるの……?」
鼻をすすって、ゆっくり聞いた。
「それが分かれば、苦労はしないさ。
でも、本人が話したくない理由があるってことは……付き合えない決定打があるってことよ……」
知ってはいけない、真実があるってこと?
「どうしたら……月先生の心を開けるの?」
「本人次第ってところもあるから……。
でも、これは先生としてのプライドってもんがあるんだろう。
言わないかも………。
諦めて、ガチで、他の所に行ったほうがいいかもだぜ……」
それは、杏ちゃんにも「脈無しだよ」と切り捨てられて、月先生にも「拒絶」されたショックだったんだろう。
スマホを切って、ベッドに沈み込む。
何も考えたくない。
深い闇の海に溺れてるみたいに、心が苦しい。
私は、布団に包まって深く目をつぶって、「明日が来なくなればいい」って願うように眠りについた。


