仮恋愛


         *

私が大好きなのは、りんご。



りんごシューズ、クッキーを食べていないとーーー月先生に相手にされない日々の放課後は過酷だ。


「んにしては、「カロリーオフ」のやつばっかり。



「りんごちゃんシリーズ」の、カロリーオフお菓子ーーー姫は、良く飽きずに毎日食えるな……」



と、渋々私の大好きな「りんごちゃんクッキー、カロリーオフ」を食べながら「小豆 杏」ちゃんは顔を顰めて「マズッ!!」とテッシュに吐き出して、水をがぶ飲み。




「失礼だなー。

りんごって、1個食べれば医者を遠ざけるって言われてるのに、どうして食べ物をそんなに粗末に食べるの?」




「いやいや、アタイはむしろりんごは好きなんだよ……。


でもさぁ……中のリンゴジャムも砂糖入って無いって前代未聞だろ?


お酢に豆腐を混ぜ込んだような匂いのジェルが鼻の粘膜ぶっ壊してんじゃないかってぐらいくせぇ……」



と、女の子らしからぬ大股を開いて、左足をイスに乗っけて膝を立てて、ソーダアイスを食べてる。



女子高生であり、クラスメイトのはずなのに、短髪の紅い髪が「燃える様な闘争心」を表してるような。



そんな、気配を感じる彼女でさえこのお菓子を拒絶する。



そんなに不味いの?



……というのは置いておいて。




「月先生が、振り向いてくれないよぉーーーー!!」



と、私は上を向いて心の傷心「?」って言うものを、呟いてみた。



「声がでかいなぁ!!


アイス落としちまいそうだったぜ……」


涙いっぱいに目を浮かべている私に対して、アイスをかじる杏ちゃんは肩を落とす。


「あんまり気負うなよ。月先生は競争率高いんだから、ポジティブ馬鹿は悟られる運命なの。他をあたんな?」


と、りんごちゃんクッキーのハート型クッキーを私に渡す。



あ……これ、恋が成就するハート型ラッキークッキーじゃん!!


と、喜んだのもつかの間。



湿気が多い夏の日は、お菓子にも影響をするみたいで、クッキは静かに音を立てずにボロボロと、机の上に折れて割れた。



これは、新しい恋を探せという神様からの合図?


でも……。


「諦めきれないよーーー!!」


と、駄々をこねるしか他ない。


だって、好きなものを嫌いだなんてーー死んでも言えない!!


自分で素直でありたい、私だからーー器用になんて生きれないの!!


「ブッ」



と、吹き出されるような声がした。



え、笑わられるような事をした?


と、後ろを振り返ると足を組んだお姫様が、後ろの席で私をたしなむように覗き込でた。


ピンクのルージュが素敵で、どこからどう見てもお人形のような透明な肌に、しなやかな四肢。



「花見凛」ちゃんが、口もとを抑えて笑ってた。



あれ……、なにか面白いことでもあったのかな?




「何だ、凛。

人の恋沙汰を、笑うのか?


性格ブスにも、程があるぞ?」




「身の程をわきまえない、女ほど男に捨てられるってのを教えてあげてるだけなのに、何が悪いわけ?」



と、私に指さしする凛ちゃん。



「身の程をわきまえるって……人間は平等だよ?」


そんな事を言ったら、また高笑いした凛ちゃん。


「平等だって?


アンタごときが?


陰キャのクセして、可愛こぶってる弱い女に月先生が振り向くわけなくない?


ねぇ、杏?」



その言葉を聞いた途端、杏ちゃんは立ち上がり「お前と私が、同類意見みたいに括るな!!

姫は、陰キャじゃねぇー!!

ポジティブ馬鹿なんだよ!!」とりんごちゃんクッキーの箱を凛ちゃんに向かって投げる。



辞めて危ないって思ったときには、凛ちゃんの取り巻きa子ちゃんがーーキャッチした。




良かった……。



凛ちゃんが怪我をしなくて。




でも……「お馬鹿さん」ってどうゆうこと!?


反論しようとしたつかの間、凛ちゃんは太陽を吹き消すぐらいの、ため息を吐いて。



「私の月に手出ししないで、ちょうだい。


私は、先生に愛される為に痩せる努力をしてる。

努力家って事を忘れないで


そこの何の取り柄もない、姫が国家公務員を奪えると思って?」



鋭い目線で、私を睨む凛ちゃんは、手下から箱を奪って矢を打つように箱を射抜く。



射抜いた先の、私のこめかみに命中しーーーイスごと転げ落ちてしまう。



額から鉄のような匂いがしたから、多分血が流れてるんだと思う。



「大丈夫か!?」



「杏ちゃん……私、前が見えないよーー!!


痛くて目が開けられないーー!!


たーすーけーてー!!」


と、杏ちゃんに手を貸してもらった矢先に凛ちゃんは「お大事に」ってこぼした。