〜side 淀野〜
穂波さんと実家を訪問してから、僕は実家の両親が穂波さんにぶつけた言葉の意味を考えていた。
穂波さんは今まで仕事にやりがいを持ってきたキャリアウーマンで、僕よりも4つ年上な落ち着いた大人の女性だ。職場でも地位があり、仕事を辞めて家庭に入る事など酷な事だと分かっていた。
あれからお互いに忙しく仕事をしていた僕達は、一度も連絡を取り合えずにいた。当然再度両親にも連絡できず、結婚の話はその場で足踏み状態で全く進められずにいる。何とかしなきゃとは思っているが、仕事の忙しさにかまけて何もできない日々を送っていた。
◇
今日は当番日の為、僕は同じ交番勤務の後輩早瀬《はやせ》と一緒に街の巡回に出掛けていた。夜道で不審者から市民の身を守るのも僕たちの重要な仕事だ。
同僚の早瀬ととある住宅街を通りかかった時、家の門の前で怪しい人影を発見した。黒いジャンパーに黒いズボン、フードを被ってマスクで顔を覆っているその人影は、遠くから見ても如何にも怪しく、風貌から男だと言う事が直ぐに分かった。
「おい。そこで何をしている⁇」
近付いてライトで照らし、フードを被った男に職務質問すると、男は焦った様に走り始めた…。
「おい。待て⁉︎」
僕は県警に応援要請をかけた。男は逃げ足が速く、住宅街の中を駆け抜けていく。同僚の早瀬と共に手分けして追い駆け、僕達はとうとう男を行き止まりの壁際まで追い込んだ。
「もう逃げられないぞ。」
男に近付いて話を聞こうと思ったその時、男がポケットから小型のナイフを取り出した。
ナイフを振り回す男にたじろぐ間もなく僕は男のナイフを交わし、男からナイフを取り上げようとした。同僚の早瀬も一緒になり、ナイフを所持している男を止めようとする。
男が同僚の早瀬にナイフを持って襲い掛かろうとする。その瞬間僕は男を止めようと男の前に立ちはだかった。
男のナイフが僕の右腕を掠め、僕は右腕に傷を負ってしまった。男はまた僕に向かって来ようとナイフを僕に向けた。
「警察だ。手を挙げろ。」
応援要請を聞きつけ駆けつけた警察官達が男を取り押さえた。被っていたフードを外された男は、まだ20代位の若い男だった。
「淀野さん大丈夫ですか⁇」
その場に伏せる様に右手を庇う僕の事を心配して同僚の早瀬が僕の元に駆けつけた。
「大丈夫だ。少しナイフが掠めただけだ。」
僕はナイフの掠めた右手を庇い、血が滲む右手を持っていたハンカチで覆った。
穂波さんと実家を訪問してから、僕は実家の両親が穂波さんにぶつけた言葉の意味を考えていた。
穂波さんは今まで仕事にやりがいを持ってきたキャリアウーマンで、僕よりも4つ年上な落ち着いた大人の女性だ。職場でも地位があり、仕事を辞めて家庭に入る事など酷な事だと分かっていた。
あれからお互いに忙しく仕事をしていた僕達は、一度も連絡を取り合えずにいた。当然再度両親にも連絡できず、結婚の話はその場で足踏み状態で全く進められずにいる。何とかしなきゃとは思っているが、仕事の忙しさにかまけて何もできない日々を送っていた。
◇
今日は当番日の為、僕は同じ交番勤務の後輩早瀬《はやせ》と一緒に街の巡回に出掛けていた。夜道で不審者から市民の身を守るのも僕たちの重要な仕事だ。
同僚の早瀬ととある住宅街を通りかかった時、家の門の前で怪しい人影を発見した。黒いジャンパーに黒いズボン、フードを被ってマスクで顔を覆っているその人影は、遠くから見ても如何にも怪しく、風貌から男だと言う事が直ぐに分かった。
「おい。そこで何をしている⁇」
近付いてライトで照らし、フードを被った男に職務質問すると、男は焦った様に走り始めた…。
「おい。待て⁉︎」
僕は県警に応援要請をかけた。男は逃げ足が速く、住宅街の中を駆け抜けていく。同僚の早瀬と共に手分けして追い駆け、僕達はとうとう男を行き止まりの壁際まで追い込んだ。
「もう逃げられないぞ。」
男に近付いて話を聞こうと思ったその時、男がポケットから小型のナイフを取り出した。
ナイフを振り回す男にたじろぐ間もなく僕は男のナイフを交わし、男からナイフを取り上げようとした。同僚の早瀬も一緒になり、ナイフを所持している男を止めようとする。
男が同僚の早瀬にナイフを持って襲い掛かろうとする。その瞬間僕は男を止めようと男の前に立ちはだかった。
男のナイフが僕の右腕を掠め、僕は右腕に傷を負ってしまった。男はまた僕に向かって来ようとナイフを僕に向けた。
「警察だ。手を挙げろ。」
応援要請を聞きつけ駆けつけた警察官達が男を取り押さえた。被っていたフードを外された男は、まだ20代位の若い男だった。
「淀野さん大丈夫ですか⁇」
その場に伏せる様に右手を庇う僕の事を心配して同僚の早瀬が僕の元に駆けつけた。
「大丈夫だ。少しナイフが掠めただけだ。」
僕はナイフの掠めた右手を庇い、血が滲む右手を持っていたハンカチで覆った。



