続・恋の終電列車

 今日は淀野さんから珍しく外で食事をしないかと誘われ、いつもは家で宅飲みの多い私達なのに、食事に行こうと誘われるなんて珍しいなと少し疑問に感じてしまう。

 でも、久しぶりの食事の誘いに胸を弾ませた私は、いつもは部屋着や気合いのないラフな格好しかしない自分のスタイルを整えて食事の場所へと向かった。

 春らしい薄ピンクのカットソーブラウスにフワリとした春らしい紺のスカート、その上にベージュのトレンチコートを着た私は、あまり背が高く見えない低めのヒールの靴を履いて淀野さんとの待ち合わせ場所へと向かった。

 季節は新入社員の人達で賑わう春なのに、空気はまだ少し冷たい。そんな姿を見て、ふと佐倉さんを思い出した私は、佐倉さんは新しい支店で頑張っているだろうか⁇と思慮を巡らせた。

 でも、そんな心配は彼女の仕事ぶりを思い返せば不要な事だろうと思いを巡らせ、思いながらクスッと笑ってしまった。

 待ち合わせの時間になっても淀野さんが現れない。彼はいつも外で待ち合わせる時には待ち合わせに遅れることなんかなかったのに…⁉︎

 (……時間に遅れない淀野さんが待ち合わせ時間に来ないなんて何かあったのかな⁇……)

 連絡が入っていないかと開いたスマホ画面には、何のメッセージも入っていない。

 『淀野さん、何かありましたか⁇』

 そうLINEのメッセージを送信しようと思ったその時…⁉︎

 「すみません。遅れてしまって⁉︎」

 走って来たのか息を切らせて現れたのは、いつもよりビシッとしたパンツ姿にジャケットを着た淀野さんだった⁉︎

 いつもと違う淀野さんのスタイルに驚いている私に、背中に忍ばせておいた薔薇の花束を私の前に差し出して淀野さんは静かに口を開いた。

 「穂波さん。これを受け取ってください。」

 何のことだか分からない私は突然目の前に差し出された花束に目を丸くした。

 「これは…どういう…⁇」