御曹司ですが、日本で恋活します



「ここちゃん、ジン君、今日は遅いわね」

 ジンさんがここへ通うようになって一か月が過ぎた。
 私はというと、初対面の時の衝撃から、今はだいぶ落ち着いてきた。
 何が落ち着いたかというと、ジンさんの素直すぎるアプローチだ。
 ビジュアルはほとんど日本人と一緒なのに、性格がアメリカ育ちのテンションなのが中々慣れない。
 この間なんて、怖い日本人形を持って来た。
 それもすごく嬉しそうに大切に抱えて。

 その日本人形は紫色の綺麗な風呂敷に包まれていて、かなり古ぼけたいわゆる女の子の日本人形として最初に想像ができるあの顔つきの人形だった。
 その日は段ボールに入った新鮮な野菜を受け取った後、ジンさんがリュックから何かを大切に取り出す様子に、何か美味しいお菓子を持ってきてくれたのだと、少しだけ期待した。
 たまにそうやって私にプレゼントをしてくれたから。
 でも、取り出したのは、紫色の布に包まれた古ぼけたお人形だった。