「ジン? どうした?
あ、この子なんだけど、ここの野菜部門の担当をしてる山本心深ちゃん。
心が深いと書いてここみちゃん。
いい名前だよな」
「ここみ?ちゃん…」
ここみちゃんは俺を真っ直ぐに見て小さくお辞儀をした。
「ジンさん…でいいですか?
朝受け取った大切なお野菜を、ちゃんとお客様の食卓へ届けるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」
何なんだ、この胸のざわざわは?
喉は乾いてくるし、息までも荒くなってきた。
俺は犬か?
ハアハアとかあり得ない。
「あ、よろしくお願いします…」
いやいや待て、モジモジしてる俺ってヤバくないか?
「じゃ、ここちゃん、明日からよろしくね。
俺はしばらくお店には顔を出さないから、何かあったらジンに伝えてね」
浩太おじさんは天真爛漫な微笑みを浮かべるここちゃんしか見ていない。
俺だってここちゃんしか見ていない。



