「…食べていいの?」
上目遣いがちに俺を見た澪に、ドキッとする。
「いいから頼んだんだけど」
視線を逸らしつつ答えると
視界の端に映る澪が微笑むのがわかった。
「じゃあいただきまーす」
ニヤニヤしながらチョコレートパフェを食べる澪に
思わず俺まで嬉しくなった。
なんで、なんてわかんねぇけど
澪といるのは、嫌じゃない。
女に対してそんな感情を抱いたのは、初めてで
そんな自分に戸惑う。
つか、だいたい俺
クリスマスに女といるのとか
初めてじゃね?
「ね、斎さん」
「何?」
「あーん」
気が付くと
口元に伸ばされたスプーン。
上にはもちろんパフェが乗ってて
澪は食べてといわんばかりに
俺を見つめてる。
「ばーか。
そーゆーのは彼氏にやれ」
阿保な女、と思いながら
冷たくあしらうと
「彼氏なんかいないもん…」
しゅんとした澪に、失言したことに気づく。


