黙っている俺に


「裏切られたこと、あるんでしょ?


だから…

そんな悲しいこと言うんでしょ?」


女はそう訴えた。




゙悲しいこど…?


「はっ、事実だろ。」


俺は女を馬鹿にするように鼻で笑って

女の目を見る。



女はそんな俺の視線に

一瞬唖然としたが


キッと睨みかえすと


「違う。

人は、そんな冷たくない。」


そう、強く反論した。



んだよ、この女。



俺は女の態度が腹立たしくなってきて

視線を反らす。






━ カラン カラン


「ミオっ!!!!」


しばらく黙りあった俺と女の沈黙は

店にやってきた第三者の扉を開けた音と叫び声に破られた。



「あんたねぇ!!!

携帯も持たずに出てくなんてバッカじゃないの!!??」


第三者の女は

ツカツカとブーツを鳴らしながら女に近づき



「…心配したんだから…っ!」



震えた声で

女を抱きしめた。



「…ごめんなさい…」



女も震えた声で謝罪すると

抱き着いて来た女を抱きしめ返す。