推しが彼氏!?

☆第12話☆ 「この想いの名前」

― ミオ目線 ―

約束をしてから、一週間。

学校生活はいつも通り。

授業を受けて、友達と笑って、お昼を食べて。

毎日は変わらないはずなのに、心は少しだけ違っていた。

放課後。

ユナと一緒に帰っていると、駅前の大型ビジョンに映像が流れ始める。

『NXT 全国ライブツアー開幕!』

思わず足を止めた。

画面の中では、たくさんのファンの歓声に包まれながら歌うリオたち。

ステージの上で輝く姿は、やっぱりかっこいい。

「すごいね!」

ユナが目を輝かせる。

「ミオが応援してるグループでしょ?」

「うん。」

私は笑顔でうなずいた。

でも、その笑顔の奥には少しだけ寂しさもあった。

(頑張ってるんだね、リオさん。)

会えない時間が長くなっても、応援したい気持ちは変わらない。

むしろ、前よりもっと大きくなっていた。

---

その夜。

机の引き出しを開けると、小さなメモが出てきた。

『また、ゆっくり話そう。』

あの日の約束を思い出す。

自然と笑顔になった。

「早く会いたいな……。」

その言葉を口にした瞬間、私は自分ではっとした。

(あれ……?)

会いたい。

ただ応援したいだけじゃない。

顔が見たい。

声が聞きたい。

一緒に笑いたい。

胸が少し熱くなる。

そして私は、小さく微笑みながらつぶやいた。

「……好きなんだ。」

その一言は、誰にも聞こえなかった。

でも、自分の心にははっきり届いていた。

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― リオ目線 ―

全国ツアー初日。

大きな拍手と歓声に包まれながら、俺たちはステージに立っていた。

歌い終えた瞬間、会場いっぱいに拍手が響く。

「ありがとうございました!」

ステージ袖へ戻ると、ユウが肩を組んできた。

「初日、大成功!」

「よかった。」

ハルも笑顔でうなずく。

「最高のスタートだね。」

みんなで喜び合う。

でも。

ふとポケットの中に触れる。

そこには、小さなストラップが入っていた。

夏祭りの日に、ミオが「記念に」とくれた、おそろいの星のキーホルダー。

(頑張って。)

そう言って笑ってくれた顔を思い出す。

その瞬間。

胸が温かくなった。

「リオ?」

レンが不思議そうに聞く。

「そのキーホルダー、大事そうだね。」

「……うん。」

自然と笑みがこぼれる。

「大切な人にもらった。」

その言葉に、ユウたちは顔を見合わせる。

「へぇ〜?」

「大切な人、ね。」

からかわれても、不思議と嫌じゃなかった。

むしろ、はっきり分かった。

(俺は。)

(ミオが好きだ。)

もう迷わない。

ツアーが終わったら。

約束を果たして。

今度こそ、自分の気持ちを伝えよう。

そう心に決めた。

そして同じ夜。

離れた場所で。

ミオもリオも、同じ月を見上げていた。

お互いの想いを知らないまま。

それでも二人の心は、確かに同じ未来へ向かって歩き始めていた──。

― ミオ目線 ―

ツアーが始まってから数週間。

私は毎日のようにNXTのニュースをチェックしていた。

「今日も大成功だったんだ。」

ファンのみんなが投稿した写真や感想を見て、自然と笑顔になる。

「リオさん、楽しそう。」

もちろん、会いたい気持ちはある。

でも、それ以上に——。

(笑っていてくれてよかった。)

そう思える自分がいた。

---

ある日の放課後。

教室で宿題をしていると、ユナが机に頬杖をついて聞いてきた。

「ねぇ、ミオ。」

「ん?」

「好きな人、できた?」

「えっ!?」

思わず大きな声が出る。

教室のみんながこちらを見る。

「しーっ!」

ユナが笑いながら小声になる。

「ご、ごめん!」

ミオは顔を真っ赤にしながら席に座り直した。

「……どうしてそう思うの?」

「だって、最近すっごく幸せそうなんだもん。」

「そんなことないよ!」

「本当に?」

「……。」

答えられない。

頭の中に浮かぶのは、いつもリオの笑顔だった。

「……いるの?」

ユナが優しく聞く。

私は少しだけ目を伏せて、小さくうなずいた。

「うん。」

その返事だけで十分だった。

ユナは何も聞かず、そっと笑った。

「その人、きっと素敵な人なんだね。」

「……うん。」

私は少し照れながら笑う。

「すごく優しい人。」

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― リオ目線 ―

全国ツアーは順調だった。

どの会場でも、たくさんのファンが笑顔で迎えてくれる。

「ありがとう!」

ステージから手を振るたび、大きな歓声が返ってくる。

本当に幸せな時間だった。

でも。

ホテルへ戻り、一人になると——。

「……。」

ポケットから星のキーホルダーを取り出す。

あの日、ミオがくれた小さなお守り。

『頑張ってください!』

笑顔で渡してくれた姿を思い出す。

「もう少しで会える。」

自然とその言葉が口をついて出た。

「リオ。」

部屋のドアをノックして入ってきたのはハルだった。

「眠れない?」

「少しだけ。」

ハルはキーホルダーを見て、優しく笑う。

「大切にしてるね。」

「うん。」

「帰ったら、約束してたんでしょ?」

「……うん。」

「ちゃんと会いに行きなよ。」

その一言に、リオはゆっくりとうなずいた。

「今度こそ。」

迷わない。

ツアーが終わったら。

ミオに会って、自分の気持ちを伝える。

その決意は、もう揺らがなかった。

---

東京と地方。

離れた場所で過ごす二人。

それでも、心の中にはいつも同じ人がいた。

会えない時間は、想いを消すどころか——。

もっと大きく、もっと確かなものへと変えていた。

― ミオ目線 ―

土曜日の午後。

私は久しぶりに事務所を訪れていた。

今日は資料整理のお手伝い。

NXTのみんなはまだツアー中で、事務所はいつもより静かだった。

「ミオちゃん、ありがとう!」

スタッフさんが温かく迎えてくれる。

「ツアーもあと少しで終わるよ。」

「そうなんですね!」

自然と笑顔になる。

(もうすぐ……会える。)

その言葉だけで胸が弾んだ。

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仕事が終わり、帰ろうとした時だった。

「ミオちゃん。」

マネージャーさんが一冊のノートを差し出した。

「これ、リオから預かってるよ。」

「えっ?」

驚きながら受け取る。

中を開くと、一枚のメモが挟まっていた。

『約束、忘れてないよ。』

たったそれだけ。

でも、その文字を見た瞬間、胸がいっぱいになる。

思わず微笑んだ。

「私も、忘れてません。」

大切そうにノートを抱きしめる。

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― リオ目線 ―

全国ツアー最終公演。

最後の曲が終わる。

大きな拍手と歓声が会場いっぱいに響いた。

「ありがとうございました!」

メンバー全員で深く頭を下げる。

ステージ袖へ戻ると、ユウが勢いよく抱きついてきた。

「終わったーー!!」

「お疲れ。」

ハルもレンもソラも、みんな笑顔だった。

夢だった全国ツアー。

無事に走り切ることができた。

でも。

今、一番に思い浮かぶのは——。

(ミオ。)

「帰ったら会いに行く。」

そう約束した。

もう迷わない。

「リオ。」

ユウがニヤッと笑う。

「明日、会いに行くんでしょ?」

「……うん。」

「ちゃんと伝えなよ。」

「まだ、その時じゃない。」

リオは少し笑って首を振る。

「でも。」

空を見上げる。

「もう逃げない。」

その目は、今までで一番まっすぐだった。

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その翌日。

東京駅。

NXTを乗せた新幹線がホームへ滑り込む。

改札の向こうには、大勢のファンが待っていた。

リオはその景色を見ながら、小さく息を吸う。

「約束を守りに行こう。」

その一歩が、新しい未来の始まりになる。

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同じ頃。

ミオは窓から青空を見上げていた。

「今日、帰ってくるんだ。」

自然と笑顔になる。

胸の鼓動が少し速い。

会えるかどうかは分からない。

それでも。

「なんだか、いいことがありそう。」

そんな予感がしていた。

夏に始まった、小さな出会い。

それはいつの間にか、二人にとってかけがえのない絆になっていた。

そして——。

ここから先は、もう一人だけの恋じゃない。

二人の未来が、少しずつ動き始める。