推しが彼氏!?

☆第11話☆ 「想いは、少しずつ。」

― ミオ目線 ―

全国ツアーの発表から数日。

テレビでも、SNSでも、NXTの名前を見かけることが増えた。

「すごいなぁ……。」

教室でスマホを見ながら、小さく笑う。

「ミオ!」

ユナが後ろからのぞき込んできた。

「またそのグループ見てる!」

「えへへ。」

「そんなに好きなんだ?」

「うん!」

少し照れながら答える。

もちろん、NXTのみんなを応援している。

でも今は、それだけじゃない。

(リオさん、頑張ってるかな。)

そんなことを考える時間が、前よりずっと増えていた。

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放課後。

私は図書室で宿題をしていた。

窓の外を見ると、空がオレンジ色に染まり始めている。

(夕焼け……。)

屋上でリオさんと見た景色を思い出す。

気づけば、自然と笑顔になっていた。

「ミオ?」

司書の先生に呼ばれ、慌てて本を閉じる。

「帰る時間よ。」

「あ、はい!」

帰り道。

私は空を見上げて、小さくつぶやく。

「お仕事、頑張ってください。」

届かないと分かっていても。

心の中で、そう応援した。

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― リオ目線 ―

ツアーの準備は想像以上に忙しかった。

ダンスレッスン。

歌の練習。

取材。

撮影。

毎日があっという間に過ぎていく。

「休憩!」

スタッフさんの声で椅子に座る。

「疲れた〜!」

ユウが床に寝転がる。

「まだ始まってもないのに!」

レンが笑う。

そんな賑やかな空気の中で、俺はふと窓の外を見た。

夕焼けだった。

(ミオも見てるかな。)

同じ空を見ていたらいいな。

そんなことを思う自分に、小さく笑ってしまう。

「リオ。」

ハルが隣に座る。

「最近、夕焼けばっかり見てるね。」

「そう?」

「うん。」

ハルは少し微笑んだ。

「誰かを思い出す景色ってあるよね。」

その言葉に、思わず黙ってしまう。

「……ある。」

短く答える。

夕焼けを見るたびに思い出す。

屋上で一緒に過ごした時間。

夏祭り。

ミオの笑顔。

全部、大切な思い出だった。

その時、マネージャーがスタジオへ入ってきた。

「みんな、お疲れ!」

「来週から地方でのリハーサルが始まるよ!」

その一言で、空気が少し引き締まる。

地方でのリハーサル。

しばらく東京を離れることになる。

(……しばらく会えない。)

その現実が、胸に重くのしかかった。

でも、夢のためには必要な時間。

リオは静かに拳を握る。

「頑張ろう。」

夢も。

そして、大切な人との未来も。

そのために、今できることを精一杯やろうと心に決めた。

― ミオ目線 ―

数日後の放課後。

「ミオ、帰ろう!」

ユナに声をかけられ、二人で校門を出た。

「そういえば、NXTってもうすぐツアーなんだよね?」

「うん!」

思わず笑顔になる。

「今ごろ、リハーサル頑張ってると思う。」

「ミオ、本当に応援してるんだね。」

「もちろん!」

その言葉に嘘はなかった。

家に帰ると、私は机の上に置いてあった音楽雑誌を開く。

表紙には笑顔のNXT。

ページをめくると、リオのインタビューが載っていた。

«「応援してくれる人がいるから、どんなに大変でも前を向いて頑張れます。」»

その一文を読んだ瞬間、胸がじんと温かくなった。

(リオさんらしいな……。)

私は雑誌を閉じ、小さく微笑む。

「私も、ずっと応援してます。」

誰にも聞こえないくらい小さな声でつぶやいた。

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― リオ目線 ―

地方リハーサル初日。

朝から何度もダンスを合わせ、気づけば外は夕方になっていた。

「今日はここまで!」

スタッフさんの声が響く。

「お疲れさまでした!」

メンバーみんなが拍手をする。

俺もタオルで汗を拭きながら、ロビーのベンチに座った。

ふとポケットからスマホを取り出す。

そこには、マネージャーが送ってくれた雑誌の写真。

『NXT特集、大好評!』

その記事を見て、ふと思う。

(ミオも見てくれてるかな。)

その瞬間、不思議と力が湧いてきた。

「よし。」

もう一本、練習しよう。

「えっ、リオ?」

ユウが驚いた顔をする。

「もう終わりだよ?」

「もう少しだけ踊ってくる。」

ハルが優しく笑う。

「頑張る理由があるんだね。」

リオは少し照れながらうなずいた。

「……うん。」

その夜。

ホテルの部屋で窓を開けると、夜風が心地よかった。

空を見上げながら、心の中でつぶやく。

(ミオ。)

直接会えなくても。

その笑顔を思い出すだけで前を向ける。

離れていても、ちゃんと支えられている気がした。

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一方その頃。

東京では、ミオも同じ夜空を見上げていた。

「ツアー、成功しますように。」

二人は違う場所にいても、同じ願いを胸に抱いていた。

そして、その願いは少しずつ未来へとつながっていく――。


― ミオ目線 ―

地方リハーサルが終わり、NXTが東京へ戻ってくる日。

私は学校が終わると、そのまま事務所へ向かった。

今日は少しだけ、お手伝いを頼まれている。

「こんにちは!」

「ミオちゃん、待ってたよ!」

スタッフさんが笑顔で迎えてくれた。

「もうすぐみんなも戻ってくるから、資料を会議室に運んでもらえる?」

「はい!」

段ボールを抱えて廊下を歩いていると――

ガチャッ。

事務所のドアが開いた。

「ただいまー!」

元気なユウの声が響く。

「おかえりなさい!」

思わず笑顔になる。

ハル、レン、ソラも「ただいま」と声をかけてくれる。

そして最後に、リオがゆっくりと中へ入ってきた。

目が合う。

一瞬だけ、お互いに時間が止まったように感じた。

「……ただいま。」

「おかえりなさい!」

その一言だけなのに、胸がいっぱいになる。

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仕事が一段落した頃。

事務所の自動販売機の前で飲み物を選んでいると――

「ミオ。」

振り返ると、リオが立っていた。

「お疲れさま。」

「リオさんも、お疲れさまです!」

少しだけ沈黙。

でも、その静かな時間が心地いい。

「ツアーの準備、大変でしたよね。」

「うん。でも……。」

リオは少し照れたように笑う。

「頑張れた。」

「本当ですか?」

「応援してくれる人がいるから。」

その言葉に、ミオは少しだけ照れながら笑った。

「これからも応援します!」

リオは優しくうなずく。

「ありがとう。」

その笑顔を見て、私は思った。

(やっぱり、この人を応援したい。)

推しだからじゃない。

リオさんだから。

そう思えるようになっていた。

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― リオ目線 ―

久しぶりに会ったミオは、前と変わらない笑顔だった。

それだけで安心する。

地方へ行っていた数日間。

忙しい毎日だった。

でも。

どこか心にぽっかり空いたような気持ちがあった。

その理由が、今日やっと分かった。

(会いたかった。)

その一言が、心の中に自然と浮かぶ。

今度こそ伝えよう。

そう思ったけれど――

「リオ!」

マネージャーが控え室から顔を出した。

「打ち合わせ始まるよ!」

「今行きます。」

少しだけ残念そうに笑う。

「ごめん。」

「大丈夫です!」

ミオも笑って手を振る。

「お仕事、頑張ってください!」

「うん。」

歩き出したあと、ふと振り返る。

「ミオ。」

「はい?」

「ツアーが終わったら……。」

言葉を選びながら続ける。

「また、ゆっくり話そう。」

ミオは少し驚いたあと、嬉しそうに笑った。

「はい!約束です!」

小さく差し出された小指。

リオは少し照れながら、自分の小指を重ねる。

「約束。」

指切りはほんの数秒。

でも、その時間は二人にとって特別だった。

その様子を、少し離れた場所から見ていたユウが小さく笑う。

「やっと約束できたね。」

ハルも優しくうなずく。

「きっと、もうすぐだね。」

二人はまだ気づいていない。

お互いの想いが、同じ大きさになっていることに。

そして――

その"約束"が、未来を大きく変えることになる。