クイズラリーの後は夕食作り。各班、火を熾して調理を始める。メニューはカレーに決められていて、配布される食材も一緒。その他こだわりがあれば、リンゴとかインスタントコーヒーとか、常温でも保管できるものは加えてもいいって言われている。クイズラリーの結果は食事後の花火の時に発表されるらしい。秋月先生の奥さんの名前や、田中先生の好きな食べ物も判明するのかな?
「俺たちで火を熾すから、女子は野菜とか切ってきて」
「はーい」
私たちの班はアウトドアに詳しい佐木君を中心にちゃくちゃくと準備を進めていた。
「神田さん、なんか手際がいいね」
「私、母親と二人暮らしだから、母親仕事も忙しいし、家事とか分担制なの」
「そうなの!? すごい」
慣れた手つきで野菜の皮をむいていく神田さん。あまりに手際が良くて、思わず見とれてしまう。
「普通だよ」
「私いつも手伝えって言われるけど、あんまり手伝いしてないなぁ」
「私もだ」
「それでいいんじゃない? 各家庭で色々違うでしょ」
楽しく話しながら、野菜はあっという間に切り終わってしまった。そこで私はカレーの隠し味にしようと思ってインスタントコーヒーを持ってきていたことを思い出した。
「私、インスタントコーヒー持ってきてたんだった! 取ってくるね」
「お、穂花準備良いねぇ」
私は一人テントに戻ると、リュックの中からコーヒーのスティックを持って戻る。
「お帰り~火が付いたみたいだよ、お米炊いたり野菜とお肉炒めたりしよう」
「おっけー」
他の班が苦戦している中、佐木君たちはあっさりと火をつけてしまっていた。
「お、来た来た、じゃぁ作り始めるか。俺ら米の番するから女子はカレーよろしく」
「カレーにインスタントコーヒー入れてもいいかな?」
「それ! 俺も考えてたのに持ってくるの忘れた、穂花持ってきたのか?」
「持ってきたよ~」
「用意いいなぁ」
「チョコレートと悩んでコーヒーにしたよ」
「悩むならりんごだろ」
陽平君がからからとおかしそうに笑っておでこを小突いてくる。まだ何か話があったようだけど、佐木君に呼ばれてお米を見に行っていた。
お肉と野菜を炒めて、水を加える。グツグツと煮えてくると、カレールーをいれる前から美味しそうな香りが漂ってくる。
「カレー作るなら断然圧力鍋が良いのに」
神田さんが鍋の中をお玉でくるくるかき混ぜながらそんなことを言う。圧力鍋なんて、我が家にはないから、圧力鍋で作られたカレーは食べたことがないと思う。
「私、食べたことないなぁ、そもそもうちには圧力鍋がないし」
「うちも、鍋は見たことあるけど、たぶん倉庫で眠ってる」
「絶対圧力鍋の方が野菜が美味しくなる」
神田さんがあまりにも力説するものだから、なんだか、圧力鍋で作られたカレーが食べたくなってしまった。
「なんか、すごく食べたくなってきたよ~」
「ピンキリだけど、そんなに高いものじゃないし親に頼んだらあっさり買ってくれるかもよ?」
「その代りに自分で作れって言われそう」
「あはは、有り得る」
「やってみなよ、意外と楽しいんだから」
確かにこうやってわいわい調理をするのはすごく楽しい。野菜と肉に火が通ったら、一度火から鍋を外して、カレールーとインスタントコーヒーを投入。あっという間に、カレーの良い香りが漂う。
「お腹すいたー! ねぇ、ご飯炊けそう?」
「任せろー」
新奈の問いかけに、陽平君の頼もしい声が返ってくる。佐木君が真剣な目をして飯盒を見つめているから大丈夫な気がした。
「おー、カレーめっちゃいい匂いしてんじゃん」
「そうでしょう! 神田さんめっちゃ料理上手なんだよ」
「普通でしょ、普通。カレーなんて誰が作ってもカレーよ」
陽平君にそう言うと、神田さんはちょっと照れたように頬を赤らめた。なんだかすごく可愛らしい。
「ご飯も美味しそう!」
「当たり前~」
「皿に米盛るから、カレーかけていってくれ」
「はーい」
手際よく木のテーブルの上にお皿が六個並ぶ。出来上がった班から食事にうつることになっているので、さっそく食べ始めることにした。
「合掌」
「いっただきまーす」
佐木君の掛け声で陽平君が大きな声でいただきますを言う。私もつられるようにいただきます、と言ってからカレーを口に運んだ。
「あーけっこう旨いなぁ。コーヒー入れたんだろ? ちょっとコクがある気がする」
「わかったようなこと言うなよ透真」
「でも旨いだろ? 米の炊け具合も最高」
「苦労したもんなぁ」
「おまえは見てただけだろ?」
「一生懸命見つめてただろ~」
「何それ、森君超ウケるね!」
「炊飯器で炊いたより美味しいかも」
ぱくりと口に運んだカレーはとっても美味しかった。クイズラリーで疲れていたのもあるし、お腹が空いていたのもある。でも、なにより自分たちで作ったっていうことが、一番美味しいって感じさせるスパイスになっている気がした。
「苦味が出ると旨いな、家でも入れてみるかなぁ」
「桐谷君も料理するの?」
「そんなに、でもカレーくらい作る」
「料理男子だ!」
「カレーくらい普通だろ」
新奈と桐谷君が楽しそうに会話をしている。ちょっとだけ、羨ましいと思ってしまう。二人の会話に入ることの出来ない私は、なんだか置いていかれたような気持ちになって、カレーを食べることに集中した。
「夜の花火も楽しみだなぁ、なぁ穂花」
「え? うん、楽しみだよね! 花火とかいつ振りだろう? 小学生かなぁ」
「だよなぁ中学に上がってまでやんないよな、でも久しぶりだから超楽しみ!」
キラキラと明るい笑顔の陽平君は、楽しそうに笑う。僅かに沈んだ私の気持ちも、思わずふわりと浮いてしまうような明るい笑顔に、私もにっこりと笑みを返した。
「俺たちで火を熾すから、女子は野菜とか切ってきて」
「はーい」
私たちの班はアウトドアに詳しい佐木君を中心にちゃくちゃくと準備を進めていた。
「神田さん、なんか手際がいいね」
「私、母親と二人暮らしだから、母親仕事も忙しいし、家事とか分担制なの」
「そうなの!? すごい」
慣れた手つきで野菜の皮をむいていく神田さん。あまりに手際が良くて、思わず見とれてしまう。
「普通だよ」
「私いつも手伝えって言われるけど、あんまり手伝いしてないなぁ」
「私もだ」
「それでいいんじゃない? 各家庭で色々違うでしょ」
楽しく話しながら、野菜はあっという間に切り終わってしまった。そこで私はカレーの隠し味にしようと思ってインスタントコーヒーを持ってきていたことを思い出した。
「私、インスタントコーヒー持ってきてたんだった! 取ってくるね」
「お、穂花準備良いねぇ」
私は一人テントに戻ると、リュックの中からコーヒーのスティックを持って戻る。
「お帰り~火が付いたみたいだよ、お米炊いたり野菜とお肉炒めたりしよう」
「おっけー」
他の班が苦戦している中、佐木君たちはあっさりと火をつけてしまっていた。
「お、来た来た、じゃぁ作り始めるか。俺ら米の番するから女子はカレーよろしく」
「カレーにインスタントコーヒー入れてもいいかな?」
「それ! 俺も考えてたのに持ってくるの忘れた、穂花持ってきたのか?」
「持ってきたよ~」
「用意いいなぁ」
「チョコレートと悩んでコーヒーにしたよ」
「悩むならりんごだろ」
陽平君がからからとおかしそうに笑っておでこを小突いてくる。まだ何か話があったようだけど、佐木君に呼ばれてお米を見に行っていた。
お肉と野菜を炒めて、水を加える。グツグツと煮えてくると、カレールーをいれる前から美味しそうな香りが漂ってくる。
「カレー作るなら断然圧力鍋が良いのに」
神田さんが鍋の中をお玉でくるくるかき混ぜながらそんなことを言う。圧力鍋なんて、我が家にはないから、圧力鍋で作られたカレーは食べたことがないと思う。
「私、食べたことないなぁ、そもそもうちには圧力鍋がないし」
「うちも、鍋は見たことあるけど、たぶん倉庫で眠ってる」
「絶対圧力鍋の方が野菜が美味しくなる」
神田さんがあまりにも力説するものだから、なんだか、圧力鍋で作られたカレーが食べたくなってしまった。
「なんか、すごく食べたくなってきたよ~」
「ピンキリだけど、そんなに高いものじゃないし親に頼んだらあっさり買ってくれるかもよ?」
「その代りに自分で作れって言われそう」
「あはは、有り得る」
「やってみなよ、意外と楽しいんだから」
確かにこうやってわいわい調理をするのはすごく楽しい。野菜と肉に火が通ったら、一度火から鍋を外して、カレールーとインスタントコーヒーを投入。あっという間に、カレーの良い香りが漂う。
「お腹すいたー! ねぇ、ご飯炊けそう?」
「任せろー」
新奈の問いかけに、陽平君の頼もしい声が返ってくる。佐木君が真剣な目をして飯盒を見つめているから大丈夫な気がした。
「おー、カレーめっちゃいい匂いしてんじゃん」
「そうでしょう! 神田さんめっちゃ料理上手なんだよ」
「普通でしょ、普通。カレーなんて誰が作ってもカレーよ」
陽平君にそう言うと、神田さんはちょっと照れたように頬を赤らめた。なんだかすごく可愛らしい。
「ご飯も美味しそう!」
「当たり前~」
「皿に米盛るから、カレーかけていってくれ」
「はーい」
手際よく木のテーブルの上にお皿が六個並ぶ。出来上がった班から食事にうつることになっているので、さっそく食べ始めることにした。
「合掌」
「いっただきまーす」
佐木君の掛け声で陽平君が大きな声でいただきますを言う。私もつられるようにいただきます、と言ってからカレーを口に運んだ。
「あーけっこう旨いなぁ。コーヒー入れたんだろ? ちょっとコクがある気がする」
「わかったようなこと言うなよ透真」
「でも旨いだろ? 米の炊け具合も最高」
「苦労したもんなぁ」
「おまえは見てただけだろ?」
「一生懸命見つめてただろ~」
「何それ、森君超ウケるね!」
「炊飯器で炊いたより美味しいかも」
ぱくりと口に運んだカレーはとっても美味しかった。クイズラリーで疲れていたのもあるし、お腹が空いていたのもある。でも、なにより自分たちで作ったっていうことが、一番美味しいって感じさせるスパイスになっている気がした。
「苦味が出ると旨いな、家でも入れてみるかなぁ」
「桐谷君も料理するの?」
「そんなに、でもカレーくらい作る」
「料理男子だ!」
「カレーくらい普通だろ」
新奈と桐谷君が楽しそうに会話をしている。ちょっとだけ、羨ましいと思ってしまう。二人の会話に入ることの出来ない私は、なんだか置いていかれたような気持ちになって、カレーを食べることに集中した。
「夜の花火も楽しみだなぁ、なぁ穂花」
「え? うん、楽しみだよね! 花火とかいつ振りだろう? 小学生かなぁ」
「だよなぁ中学に上がってまでやんないよな、でも久しぶりだから超楽しみ!」
キラキラと明るい笑顔の陽平君は、楽しそうに笑う。僅かに沈んだ私の気持ちも、思わずふわりと浮いてしまうような明るい笑顔に、私もにっこりと笑みを返した。

