ナナイロ!

ムで選んでおいた。各自確認して班で集まれ。この辺が一班、真ん中に二班な、六人と七人の班に分かれてるからなー」 入学式から一月ほどで、クラスの中でもちらほらグループが出来始めた。
 私も例に漏れず……と言いたいのだけれど、即席で出来てしまったグループに、なんだか馴染めずに困っている、というのが正直なところ。

「午後からのホームルーム今度の合宿の班決めだよね」
「うっわ、たいぎー(面倒くさい)
「ねぇ穂花ちゃん」
「あはは、だよねぇ」

 ちょっと楽しみ、とは言えずに私は合わせるように苦笑いをした。
 私の通い始めた、光陵(こうりょう)大附属高等学校では、一年生の五月に合宿がある。互いの親睦を深めるためなんだそう。クイズラリーをしたり、花火をしたり、一緒にご飯を作ったり。私はけっこう楽しみなんだけどな。
 お昼休憩が終わった午後の五限目、担任の秋月(あきづき)先生が号令をかける。

「よーし、春合宿の班分けは出席番号順にランダ

 私は前から配られてくるプリントを凝視した。私の班は三班、メンバーの中に陽平君の名前を見つけて頬を緩める。良かった、知ってる子がいる。それから……私は一人の男の子の名前を凝視した。
 桐谷(きりたに) (みなと)君――入学式の日に、猫ちゃんとじゃれ合って遅刻してきた子だ。私の心は、少し緊張してドキンと大きく跳ねる。
 すでにクラスの中心メンバーになっている陽平君は、他の友達たちと軽い挨拶をかわしてから私をぱっと見て、にっと白い歯を見せて笑顔になる。私も片手を振って応えた。

「穂花、おんなじ班だなぁ」
「うん、ラッキーだよ~」

 にこにこと楽しそうに笑う陽平君と話しながら三班が集まる窓際の席に行くと、他のメンバーの子たちもぱらぱらと集まってくる。
 女子三人、男子三人の六人班。その中に、あの遅刻してきた彼がいる。

「じゃぁ、自己紹介するかー」
「いや、みんな名前くらい知ってるだろ。入学式の日に自己紹介したし」
「そう言うなよ佐木(さき)。俺、森陽平、趣味は野球で野球部員」
「それも前もおんなじこと言ってただろ、テンプレかよ」
「ころころ言うことが変わるわけないだろうが」

 陽平君が仕切ってくれるのがありがたい。佐木君が笑いながら突っ込んでいる。なんだかとっても雰囲気がいい。

「はいはーい! 私、山本 新奈(にいな)。三月生まれのO型で好きな色はピンクでーす」
「その情報いらねぇだろー」
「いるでしょ! 私の個人情報、ちゃんとメモした佐木君!」

 新奈ちゃんは小柄ですごく可愛らしい。ぱっちりとした大きな二重がきらきらと輝いている女の子だ。私と同じくらいの長さの髪を、くるんと綺麗に巻いている。

「新奈って呼んでね」

 にっこりと笑顔を向ける新奈ちゃんにつられて、私もにっこりと笑った。

「ほら、佐木、桐谷、おまえらも名乗れよ」
「はいはい、しかたねぇなぁ、付き合ってやるかぁ。佐木 透真(とうま)、アウトドア結構好きだから、合宿結構楽しみなんだ、よろしくー」
「桐谷 湊、よろしく」

 佐木君の横で、桐谷君は短く自己紹介を終える。すごく、素敵な声だと思った。愛想の類はまるでないけど。

「湊、もっとなんか話せよ」
「俺のことなんか聞いたって仕方ないだろう、ほら、次あんただろ」

 私は知りたいなぁ、なんて思っていると、思わず飛んできた言葉にびくっと体を震わせる。そうだ、私も自己紹介しないと。

「森君と同じ北中から来ました、二宮(にのみや) 穂花です、よろしく」
「よろしく穂花ちゃん」

 そう返してくれる新奈ちゃんに私ははにかんだ。ちょっとだけ顔が熱い。最後は雑誌のモデルみたいに背が高くてスタイルの良い神田《かんだ》さんという女の子。彫りの深いエキゾチックな顔立ちで、長い黒髪が印象的な女の子だ。

「神田 結月(ゆづき)、よろしく」

 ちょっと面倒くさそうなそぶりを見せながらも、神田さんは自己紹介をしてくれた。この六人が合宿のメンバーだ。来月の合宿で、仲良くなれたらいいなって思う。