冬休みに入ってすぐ、約束していたクリスマスがやって来た。お昼から六人で集まって、街で遊んでから平和大通りのイルミネーションを見て帰る予定。「おとぎの国」をコンセプトにしたオブジェがとてもこっていて、数も多くてかなり見応えがある。毎年家族で見に来ているけれど見飽きることがない。
「点灯何時だっけ?」
「五時半」
「それまで何してるー?」
「長居するならカラオケだろー」
「確かになぁフリータイムで入ったらいいんじゃねぇ?」
陽平君と透真君の提案で中央通りのカラオケ店へ。三軒建ち並ぶうちの、御用達のお店に入る。
「何か六人で入るの初めてじゃない?」
「確かに、クラスの打ち上げとかで来たけど、このメンツで来るの初めてだっけ?」
そういえば、湊君の歌声なんて聞いたことがない。あの声で、どんな歌を歌うのだろうかと思うと、少しドキドキした。
「人前で歌うの恥ずいな」
「湊、カラオケ苦手?」
「得意じゃないな、苦手でもないけどあんまり歌知らないからな」
「湊の選曲は俺がやってやるから」
「嫌だよ」
「じゃー一緒に歌おうぜ!」
「それも嫌だな、そもそも陽平、声でかそう」
「俺はノンマイクでいいから」
「そう言う問題じゃねぇよ」
各自ドリンクを持って部屋に入る。思った以上に大きい、パーティールームみたい。モニターの他にスクリーンもあったし、マイクにはスタンドが付いていた。
「スタンドいいねぇー! 早く歌おう!」
「トップバッター陽平なー」
「透真、勝手に入れんなよ~」
陽平君とカラオケに来るのは二回目かも。確か、中学時代に一回クラスのみんなできたことがある。人数が多すぎて、私は歌わなかったけれど、陽平君は歌っていたはずだ。あの時はみんなが知ってるポップスを歌っていた気がする。ダンスもしていて盛り上がっていたっけ。陽平君は本当にすごい。
透真君が選んだ曲は、去年すごく流行った明るい曲。陽平君はノリノリで歌っていた。とっても上手。盛り上がってマイクを持っていないみんなも熱唱。
「湊ラッドにしろよ。トレモロ」
「バンプと悩む」
「じゃぁ先に私が歌うー。穂花、一緒に歌おう!」
新奈がもう一本のマイクを手渡してくれる。アイドルグループの歌。これも去年流行った。テレビやコンビニで何度も聞いた曲だ。陽平君がタンバリンを叩いてくれる。
歌い終えると、今度は湊君が歌うみたい。この曲、知ってる。すごく好きなメロディ。
前奏が終わって歌が始まる。湊君の低い声はよく響いて、心地よい。歌もとっても上手。ハイパート部分の歌声は心に沁みて、少しうるっと涙を誘う。
「湊君も歌上手だねぇ」
歌い終えた湊君に声をかけると、首の後ろを掻いた。あ、照れてる。
「普通だろ。おまえも下手じゃないし」
「新奈と一緒だったから」
「次は一人で歌えよ、好きな歌ないのか?」
「そうだなぁ、私でも歌える歌でみんなが知ってるやつ……」
「そんな気ぃ回すなよ。歌いたい歌を歌えよ、ほら、透真が歌ってる歌知ってるか?」
尋ねられて私は首を横に振る。透真君が歌っている洋楽は、聞いたことがないけれど素敵な歌だ。
「遠慮せずに好きなやつ歌え」
そう言われると、私は歌いたい曲がぱっと思い浮かぶ。マイナーな歌だからやめていたけれど、私はすごく好きな歌。
「お、これ誰だ?」
「私」
陽平君がマイクを渡してくれる。大好きな女性シンガーソングライターの歌。音楽の中にある世界観がすごく深くて、大好きな曲だ。
声が、いつもよりも伸びる。
「穂花、合唱部だったっけ? やっぱ声綺麗だわ」
「普段の声も可愛いけど、歌声はまた良いよねぇ~」
なんて話している新奈と結月ちゃんの会話が恥ずかしいけれど、歌っていて気持ちがいい。そうだ、歌うことも好きだったのだと、思い出した。
四時間のカラオケを終えて、平和大通りに向かう。その途中で、湊君が声をかけてきた。
「おまえ合唱部だったのか」
「あはは、そう、中学校の時に友達に誘われて入ってたんだけど、高校では吹奏楽部しかなくて入ってなかったんだ」
「良かったよ、合唱部がなくて」
「そんなにジャイアンじゃありません」
「違う違う、歌、かなり上手かったよ。綺麗な声だった」
湊君の言葉に、心がドキンと跳ね上がる。湊君は首筋を撫でた。
「いや、ほら、合唱部に入ってたら、弓道部には誘えなかったし。俺も試合には出られなかったって言うかさ」
「あはは、そうだよねぇ。私もさ、誘ってもらえて良かったよ。三年間帰宅部で過ごしちゃうところだった、ありがとう。弓道、すごく楽しい」
「そう言ってくれると俺も嬉しい。本当にありがとうな」
心臓が、ドキドキとうるさく鳴る。湊君は、どんな女の子が好きなんだろう――急にそんなことが気になって仕方がなくなってしまう。今日の私は、湊君の目にどう映っているのだろう。
新奈みたいに、スカート穿いてくれば良かったな。
「点灯何時だっけ?」
「五時半」
「それまで何してるー?」
「長居するならカラオケだろー」
「確かになぁフリータイムで入ったらいいんじゃねぇ?」
陽平君と透真君の提案で中央通りのカラオケ店へ。三軒建ち並ぶうちの、御用達のお店に入る。
「何か六人で入るの初めてじゃない?」
「確かに、クラスの打ち上げとかで来たけど、このメンツで来るの初めてだっけ?」
そういえば、湊君の歌声なんて聞いたことがない。あの声で、どんな歌を歌うのだろうかと思うと、少しドキドキした。
「人前で歌うの恥ずいな」
「湊、カラオケ苦手?」
「得意じゃないな、苦手でもないけどあんまり歌知らないからな」
「湊の選曲は俺がやってやるから」
「嫌だよ」
「じゃー一緒に歌おうぜ!」
「それも嫌だな、そもそも陽平、声でかそう」
「俺はノンマイクでいいから」
「そう言う問題じゃねぇよ」
各自ドリンクを持って部屋に入る。思った以上に大きい、パーティールームみたい。モニターの他にスクリーンもあったし、マイクにはスタンドが付いていた。
「スタンドいいねぇー! 早く歌おう!」
「トップバッター陽平なー」
「透真、勝手に入れんなよ~」
陽平君とカラオケに来るのは二回目かも。確か、中学時代に一回クラスのみんなできたことがある。人数が多すぎて、私は歌わなかったけれど、陽平君は歌っていたはずだ。あの時はみんなが知ってるポップスを歌っていた気がする。ダンスもしていて盛り上がっていたっけ。陽平君は本当にすごい。
透真君が選んだ曲は、去年すごく流行った明るい曲。陽平君はノリノリで歌っていた。とっても上手。盛り上がってマイクを持っていないみんなも熱唱。
「湊ラッドにしろよ。トレモロ」
「バンプと悩む」
「じゃぁ先に私が歌うー。穂花、一緒に歌おう!」
新奈がもう一本のマイクを手渡してくれる。アイドルグループの歌。これも去年流行った。テレビやコンビニで何度も聞いた曲だ。陽平君がタンバリンを叩いてくれる。
歌い終えると、今度は湊君が歌うみたい。この曲、知ってる。すごく好きなメロディ。
前奏が終わって歌が始まる。湊君の低い声はよく響いて、心地よい。歌もとっても上手。ハイパート部分の歌声は心に沁みて、少しうるっと涙を誘う。
「湊君も歌上手だねぇ」
歌い終えた湊君に声をかけると、首の後ろを掻いた。あ、照れてる。
「普通だろ。おまえも下手じゃないし」
「新奈と一緒だったから」
「次は一人で歌えよ、好きな歌ないのか?」
「そうだなぁ、私でも歌える歌でみんなが知ってるやつ……」
「そんな気ぃ回すなよ。歌いたい歌を歌えよ、ほら、透真が歌ってる歌知ってるか?」
尋ねられて私は首を横に振る。透真君が歌っている洋楽は、聞いたことがないけれど素敵な歌だ。
「遠慮せずに好きなやつ歌え」
そう言われると、私は歌いたい曲がぱっと思い浮かぶ。マイナーな歌だからやめていたけれど、私はすごく好きな歌。
「お、これ誰だ?」
「私」
陽平君がマイクを渡してくれる。大好きな女性シンガーソングライターの歌。音楽の中にある世界観がすごく深くて、大好きな曲だ。
声が、いつもよりも伸びる。
「穂花、合唱部だったっけ? やっぱ声綺麗だわ」
「普段の声も可愛いけど、歌声はまた良いよねぇ~」
なんて話している新奈と結月ちゃんの会話が恥ずかしいけれど、歌っていて気持ちがいい。そうだ、歌うことも好きだったのだと、思い出した。
四時間のカラオケを終えて、平和大通りに向かう。その途中で、湊君が声をかけてきた。
「おまえ合唱部だったのか」
「あはは、そう、中学校の時に友達に誘われて入ってたんだけど、高校では吹奏楽部しかなくて入ってなかったんだ」
「良かったよ、合唱部がなくて」
「そんなにジャイアンじゃありません」
「違う違う、歌、かなり上手かったよ。綺麗な声だった」
湊君の言葉に、心がドキンと跳ね上がる。湊君は首筋を撫でた。
「いや、ほら、合唱部に入ってたら、弓道部には誘えなかったし。俺も試合には出られなかったって言うかさ」
「あはは、そうだよねぇ。私もさ、誘ってもらえて良かったよ。三年間帰宅部で過ごしちゃうところだった、ありがとう。弓道、すごく楽しい」
「そう言ってくれると俺も嬉しい。本当にありがとうな」
心臓が、ドキドキとうるさく鳴る。湊君は、どんな女の子が好きなんだろう――急にそんなことが気になって仕方がなくなってしまう。今日の私は、湊君の目にどう映っているのだろう。
新奈みたいに、スカート穿いてくれば良かったな。

