和装占い師君が明らかにただの占い師じゃない。


一目見てかなり昔の洗面台だとわかる。

決して汚れが目立つわけではない。むしろ綺麗に手入れされている。

翡翠色の洗面台。ちょっと小さい鏡。見たことない洗剤。

一個一個の要素が古臭いのではなく、なんというかそれぞれが複合して昔の雰囲気を醸し出している、ような?

蛍光灯の光が弱いからかもしれない。ほんのり薄暗い。

もちろん自動で水が出るタイプではなく、ちゃんと蛇口だ。


「……あれ?」


わたしは季節を問わず手を洗うときは温もりを感じられる水温が好きだ。

で、この家の蛇口は温冷を調節できるタイプだ。

だから、温かくなるように捻った。


「冷たい」


野々花ちゃんが冷たくしたのが残ってるんじゃないかと考え少しの間出しっぱなしにしたが、たいして温度は変わらなかった。

故障?

いや今夏だよね?冷たくする方がむずくない??

まああとでおばあちゃんに伝えておこう。ここでうじうじしてても仕方ない。

わたしは冷たい水で手洗いうがいを済ませた。

そしてできるだけ鏡を見ないように、足早に去る。

なんとなく鏡に何かが映っていたり、こちらを見ているんじゃないかみたいなよくない想像をしてしまったからだ。