和装占い師君が明らかにただの占い師じゃない。

「えぇー!?顔見たんですか!?」

「ちょっと、野々花ちゃん、しっー…」

「あ、ごめんなさい…、でもすごいですね!」


二人きりになったこと、そこで顔を見たこと、わたしには特に異常が無さそうなこと。

キス以外のだいたいのことを伝えると野々花ちゃんは仰天していた。

ただ、来夢君は一つ疑問があるらしく…。


「あれ?金払って無くね?ねーちゃん払った?」

「あ…」


よく考えたら払ってない。けど払うように言われてないし。

わたしのキスが代金みたいなもんだし。


「たぶん、大丈夫。…うん」

「ほんとか、それ…」


来夢君は怪訝そうだけど、まあなんとかやり過ごした。

ひぐらしの声がちゃんと聞こえてくる。少し寒くなってきた気もする。

夕方と夜の間みたいな、そんな感じの空だ。

早く帰ろう。

みんなで少し早歩きしているとき、やっぱり頭の中を占領しているのはあの占い師君だ。

そんなこんなで仲良く3人で帰った。

そして…。

ようやく、家についた。奥にはいつものあの古い謎の空き家もある。

長かったような短かったような外出だったなと振り返りながら玄関を開ける。

わたしたちを迎えたのは「おかえり」ではなく静寂だった。