「・・・えぇと、そうだ、自己紹介をしていませんでしたね」
静かになって気まずくなり、沈黙が怖くなった私は、いつの間にかそんなことを口走っていた。
その言葉に、その子も目を見開くが、頷いた。
「私、らいらって言います。中学一年生です」
そう言うと、その子はさっきよりも目を見開いた。
「あ、らいらって言うんですね」
「そうです」
私が頷いて、少し沈黙が走ったが、その子も口を開いた。
「俺は、えーと、・・・・・・」
どうしたのだろう、一向に口を開かない。
「どうかされましたか?」
私が言うと、ハッとして口を開いた。
「こ、紺って言いますっ、中学一年生、です」
紺、という名前に少しビックリしたけれど、世の中にはそんな名前の人、沢山いるだろうし。
私よりたじたじな紺さんは、私と同じように自己紹介をしたのだった。
そもそも、あっちの紺さんは中学三年生。
こっちの紺さんは、中学一年生だし、それに、背丈も私より5センチくらい、高いだけだし。
「紺さん、って言うんですね。瞳の色と同じですね」
瞳の色を指摘された紺さんは、自分の目元を指さした。
「この色ですか?」
紺さんは、自分の瞳の色を思い出すように、目を閉じて、言った。
「この色は・・・紺じゃないですよ、黒ですよ」
「そうですかね」
私は首をかしげて、紺さんの瞳を覗き込んだ。
「青みが強いと思いますけど」
私が言うと、「そうですかね」、と紺さんは照れくさそうに言った。

