モノクロームの15センチ

「大丈夫ですか?」

少し声が透き通ってて、高い声。
久しぶりに聞く人の声に、肩をふるわす。

「あっ・・・」

そう言った、目の前の人の瞳に、私は吸い込まれそうになった。

澄んだ紺色をしていた。
あまりにも綺麗な顔立ちに、白い肌に・・・。
ハーフなのかもしれない。黒髪に、紺色の瞳が、とても合っていた。

「大丈夫です・・・」
「そう、ですか」

その人は、一瞬紺色の瞳を丸くさせて、私を見た。
私も、きっと明るい焦げ茶色の目を丸くさせていただろう。

「あ・・・あの、あなたはもしかして、ここの人ですか?」
しどろもどろになりながらも、私はその、同じくらいの年齢の、男の子に話しかけた。

その子は、一度首をかしげてから、「違います」と続けた。
「俺はここのではなくて・・・」
「そうなんですね・・・」

違うとしても、この子に似合う所だと思う。
白と黒のどこまでもつやつやな壁に天井。
繊細なガラス細工とか、シャンデリア。
絶対に、似合うだろうな。

部屋の造りは最近の物ではないように思える。
大きな窓枠。日の光と、木漏れ日も差し込んでくる。

なぜだろうか、ここは晴れている。
「ここ、晴れていますね」
ハッとしてから、私は振り向く。
「あ・・・はい、そうですね」

気持ちよいほどに晴れている。
すると彼は、白と黒の、つやつやな壁をなぞった。

「これ、知ってますか?大理石」

「へえ」

白に、黒のマーブルがかかったり、その逆だったりしているその壁が、どこまでも続いているように感じた。

「大理石ですか、こんなに綺麗な壁、あるんですね」

近づいて触ったり見てみると、この色、質感、案外好きかも知れないな。
私はそう思って、少しあたたかい大理石の壁に、手をあてた。