何を作るんだろう、と考えながら私は、大理石のテーブルを拭いていた。
やっぱり、清潔感もあるし、大理石って好き。
私は、別に食べ物の好き嫌いが激しいわけでもない。
あえて言うなら、ブロッコリーが苦手なのかもしれない。
口当たりが独特というか。
そういえば、もう7時か。
ああ、やっぱり帰れないと思った方が、心が軽いのかもしれない。
ほら、テストで悪い点取るだろうなって思ってるときに、それよりもっと悪い点を想像すれば、心が軽くなる、的な。
私はボーッとしながら、頭の中の灰色を消した。
家の記憶は、白とも黒とも、どっちともつかない、灰色。
うーん、どうだっていいんだけどね。
「おーい、らいらさん、もうすぐだから、取りに来て」
早いな。
「分かりました」
私は立ち上がって、台所へ向かった。
トン、トン、トン。
包丁がまな板に当たる音。
鍋がぐつぐつ言う音。
台所中いっぱいに広がるいい香り。
「・・・めっちゃ凄いの出てくる予感」
私は期待しながら、紺さんの方を見た。
「できた」
「うわあああ」
エフェクトの音をつけるなら、キラキラで間違いない。
そこには、完璧なミートパスタが置いてあったのだった。

