モノクロームの15センチ


夜勤や残業で帰ってこないお父さんはいいとして。
家の紺さんの実のお義母さん。
そして、紺さん。
そして、私。

…食事中、誰も一言も喋らないこの空間。
それはもはや、気まずいを通り越して怖い。
三者面談みたいな、そんな感じの家。
・・・いやいやいや、自分で言っておいて何だけど、いつも三者面談状態の家って、どんな家なの?

「何がしたい、と言われても、別に思い浮かぶことはないです」
私がそう告げると、紺さんは、俺も、と言った。

「まあ、とりまご飯食べないと。お腹減ったし」
「食材があるんですか?それに、第一、料理はできるんですか?」
疑り深い私は、紺さんにそういう。
すると、紺さんは、自身の胸をドンと叩いて、言った。
「もちろん」

あ、その前に、と紺さんはまた私の手に触れる。
「ひゃっ!?」
耐性のない私、やっぱりビックリする。
「何?物騒なもの取っただけ」
彼は、手にモバイルバッテリーを持ったまま、台所へ向かった。

「…あ、そういうことか」
何秒か経って、勝手に赤くなった自分の顔を叩く。
空っぽになった手を握りしめて、私は紺さんについて行った。