モノクロームの15センチ

離してくれた左手に、まだ熱がほんのり残ってる。
動揺のせいで、いつもより速く脈を打っていた私の血管に、彼は気づいたのかな。

ああああああああああああ、もしも、もしものもしもだけれど。
気づかれていたのなら、私、一生の不覚。
…こういうときに、人間関係っていうのは大切になってくるんだよね。


昔から口下手。
なんでか、言葉は出かかっているのに、喋ることができない。
自己紹介のときが、一番困る。
あそこで、もう、自分の性格、調子、全てが公になる。

「…らいらって…いいます。趣味は…ないです、色は…紫が好きです、好きな食べ物もないです。終わりです」

十秒くらいで終わる、簡単なもの。
一回、こういう自己紹介をしたことがある。
人前で話すのがなれなくて、たじたじになってしまったときのこと。
私の全てが伝わったわけじゃないけど、みんな、空気で把握したようだった。


熱くなった頭を冷やすように、私は大理石に頭をこつんとくっつける。
「…あー、らいら、さん?どうしたの」
「いや…ちょっと熱いなって」
大丈夫?と紺さんは、無自覚なのか、ドギマギもせずに私に接する。

男子って、無自覚がいっちゃん怖い。
私は今、そう思った。