ただ、君に触れた夏

 中学生活最初の夏休みが近づき、夏の蒸し暑さが増してきた七月頃ごろ。仲良しグループの一人、千夢(せんむ)が声をかけてきた。
「結衣葉ー!!購買いこ、ノート忘れたから買いにくの。ついて来て!」
 彼女は早くも嫌われつつあるあざとキャラ、要するにぶりっ子だ。色黒でそこまで可愛くはないがあざとさでは誰よりも勝てるだろう。現に私はクラスで1番モテている人を千夢だと思っている人から。どこまでも男子はあざとさに弱いのだろう。
 ちなみに、私の名前は海原結衣葉(うみばらゆいは)。南星高校の一年4組。
 ふと、2組の前を通っている時、目線が吸い込まれるように廊下を通る全員がある方向を見つめていた。尊敬、嫉妬様々な感情が混じり合った視線の先には、ある男子生徒がいた。
 彼が振り向くと一筋の汗が明かりを反射し、輝いていた。目があった。たった一瞬。1秒にも満たないかもしれない。
でも、結衣葉にとっては十分だった。
 初恋の相手だったから。