あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

その部屋のベッドに横たわる優海は、生きていると錯覚してしまうほど、綺麗だった。

でも、顔色は氷のように冷たくて、いつもの優しい笑顔を思い出すと、急に涙が止めどなく溢れだした。


「……っ、ふ」


──死んでしまったんだ。優海は、もうこの世にいないんだ。

そんな事実を今更思い知らされて、立っていられなくなる。


……………嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


「優海っ……」



目を開けてよ。

いつもみたいに笑ってよ。

また一緒に遊ぼうよ。

また名前を呼んでよ。

嘘でしたって言ってよ。

またくだらないことで笑おうよ。

一緒に美味しいもの食べようよ。



ねぇ、

まだ、好きって言ってないじゃん……。



泣きじゃくる私、静かに立ち尽くす優海のお母さん。

私の泣き声と嗚咽だけが響いて、部屋に沈黙が流れる。




「……なんで、優海は死んだんですか」



ふと、そんな声が聞こえた。

はっとして顔をあげると、今までにないくらい冷たい目をした唯斗の姿。

その目の奥には悔しさ、後悔、悲しみ、怒り。色んな感情が混ざっているように思えた。


「ちょっと……唯斗……」


さすがに、ついさっき大切な息子を失った母親に対してそれはいけないと思い、唯斗の腕を掴む。


ただでさえ苦しくて辛くて、胸が張り裂けそうなはずなのに、それを言葉にするなんて……。

追い詰められた人間は、どんな行動を起こすか分からない。

唯斗が、それを一番、痛いほど知っているはずだ。