あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

何なのほんとに……。

「ねー乃亜ー」

無視して歩き出すと、すかさず話しかけてくる唯斗。

「何」
「昼一緒食べよ」
「……え?」

面倒臭いことを言われるかと思ったのに、聞こえてきたのはいつもの話題。

「え?俺と食べるの嫌?」
「いや、そうじゃなくて……」

思わず言葉に詰まる。
……お昼、か。

「……2人で?」

思わず、そう聞いてしまう。
今までは優海と唯斗と私。この3人で食べるのが当たり前だったから。

納得したようにあー、と零して頷いた唯斗。

「うん、2人で。俺と乃亜だけでいちゃいちゃしょ♡」

あ、やばいめんどくさい。

多分、多分空気を良くしてくれるように言っているんだと思うけど、もうちょっと方向性のないかな。
……いや多分。

唯斗だから私欲混ざってそうで普通に怖い。


「あ、木佐先生」
「なー無視すんなって」

適当に見つけた担任の先生の名前を呼んで話を逸らす。

「……おはよ、蓮見、御影」

私たちの顔を見た瞬間、気まずそうに視線を外す先生。

……あー。
その表情で、何となく察してしまう。

いくら高校で中学より担任と話す機会が減っても、流石にいつも一緒にいるメンバーくらい把握してるはずだ。

勿論、私と唯斗と優海が一緒にいたことも。



「まあ、困ったことがあったら言えよ」


そうやって困ったように笑う先生。そのまま踵を返し、他の生徒に挨拶をしに行った。


……困ったこと、か。
なんか、私がひねくれてるのかもしれないけど、どうしても少し面倒臭いのかな、と思ってしまう。

彼はまあ、よく言う偽善教師だ。
お決まりのような言葉だけ並べて、表面的にはいい先生。

実際、極少数の生徒だけが知っている彼のインスタの裏垢は酷い有様。
中学の時の担任に似ている。


まあ先生だし、生徒のことばかり気にして自分も面倒事に巻き込まれるのは嫌か。

ああいうのを、教師の鑑って呼ぶのかな。



余計な考えを払うように、歩く足を速めた。