あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

──そういうことがあって、今、9月1日の朝。


──桐菻(とうりん)高校。そう大きく書かれた門の前。


久しぶりの制服を身に纏い、何となくスカートのプリーツを整える。


私達の高校はまあ、県内ではある程度有名な進学校だ。
しかも生徒数が多くて、マンモス校と呼ばれる部類に入ると思う。

辺りを見渡してみると、色とりどりの制服を身につけた生徒達。



私立なだけあって、制服もレパートリーが豊富で、全部お洒落。
ベストやリボンだけじゃなく、ブレザー、スカートまで。
夏と冬でそれぞれ十種類弱くらいあるんじゃないかな。


「何突っ立ってんの」

隣を見ると、藍紺のブレザーを着た唯斗の姿。
意図してではないんだろうけど、お洒落に着崩していて、何となく目を合わせずらい。

学校に来るのかな、とも不安になったけど、いつもとなんの変哲もなく家に来て結局一緒に登校している。

正直、昨日のこともあって少し気まずい。
ちなみに、何故か昨日のことは何も無かったかのように振る舞われている。

「何でも」

駄目だ駄目だ。余計なことは考えないで、体力を温存しておこう。

そしてもうひとつ気になるのが……

「あれじゃない?1年の御影くん」
「ばりイケメンやん」
「えへっ盗撮しちゃおーっと♡」
「おいやめとけ」

「……」

少しカメラを引いてみると、チラチラ唯斗を見ている女の子達。

「ちっ横の女邪魔だなー」
「舌打ちすんな彼氏できなくなるよ」
「黙ればかちん。あ゛ーー!!!!まって綺麗に撮れた!!!!!!」
「おおまだ撮ってたの」
「横のこいつはAI magicで消してーっと」
「ガチトーンの英語やめて」

……あのー、しれっと私消さないで。丸聞こえだよ凄いなこの子達。

「あっ見てこれ天才じゃね?AI使う天才美少女JKとして売り出そうかな」
「美少女抜いたらいけんじゃね?」
「唇縫うぞ♡」

めちゃくちゃ会話のテンポが良いJK2人組。
うんよく見たら同じクラスだねこの子達。名前も覚えられてないじゃん私。

「存在消されてんじゃん乃亜」
「……」

そして何故か死ぬほど笑っている唯斗。

……あっちもこっちも楽しそうですねー。


「早く行くよ」

「ごめんごめん怒らないで」