あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

……依存したら悪いか?悪いに決まってるじゃん。
心の中で毒を吐くけど言葉には何故かどうしても出せない。


「ダメじゃない?その人なしじゃなんも出来なくなるんだよ」


やっとの事で声を絞り出して唯斗をしっかりと見つめる。
正直、唯斗の言っていることの意味する場所が分からない。


「俺は乃亜に依存してるけど」


……あ、やばい完全に間違えた。

相手は唯斗なんだ。私の普通の家庭で育った一般的な価値観を押し付けても、唯斗には通用しない。


唯斗の依存は、彼の精神的な生命線のようなものだ。
唯斗が生きるための、自我を保つためのもの。

ああもう。分かってたはずなのに、なんでこんなことばっかり言っちゃうかな。


気を引き締めないと今の唯斗とは多分普通に会話することは出来ない。


……最近、こんなこと考えてばっかだ。
唯斗の為にどうだとか、優海だったらとか。


ずっと細心の注意を払っているのに、全く思うように行かなくて、本当にこれが最善なのかと分かりもしない疑問が湧いてくる。


どうやったら、唯斗の傷を癒せるんだろう。


そう思うけど、考えても考えても分からなくて、視線を部屋の壁に投げる。


『遊園地』


その言葉を見つけてしまった。ほとんど真っ白なカレンダーに、『優海の誕生日』という言葉と並んで書かれた唯斗の字。



あれ、今日って……ん?

はちがつ、さんじゅういちにち。


8月、31日……。


8月31日……。


8月31日?????


「……気付いた?明日学校だよ」
「え?」


さっきのことは無かったかのように、唯斗がさらっと答える。

もう優海が死んでから11日。学校のことなんて忘れていた。


……まっっっ、ずい。


クラスメイトたちになんて言われるか。唯斗に気を配りながら、クラスの雰囲気を悪くしないようになるべく優海の話題を避けるなんてできる?


学校を休むという選択肢もあることはあるけど、何となくいけない気がする。

一生、引きこもってしまう気がする。

明日から今日以上に気を引き締めないと。


……いやきっつ。

考えがまとまらない頭の中、私はひとり小さく息をついたのだった。